更新日:2021年8月2日
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HIV感染者・ハンセン病元患者などの人権
現代社会では、病気、特に感染症に対する正しい知識と理解が十分に普及していないことから、エイズ・結核・ハンセン病などの患者や感染者が職場で迫害を受けたり、入園入学の拒否、医療現場における差別などの問題が生じています。どんな病気の人であっても、人権は守られなければなりません。もう一度病気のことを正しく理解し、社会全体でHIV感染者、エイズ患者・ハンセン病元患者やその家族を支えていきましょう。
HIV感染とエイズについて
HIVとは、エイズを引き起こすウイルスのことです。このHIVに感染することで身体の免疫力が破壊され、本来なら自分の力で抑えられる病気(日和見感染症)を発症するのがエイズです。HIVは感染力が弱いだけでなく、感染経路もごく限られているので予防や対策を講じることができます。また、HIVに感染してもすぐにエイズを発症するわけではなく、多くは数年の未発症期間があります。最近は治療法の開発が進み、感染を早期発見し、早期治療することでエイズの発症を抑えることができるようになっています。病気を正しく理解し、HIV感染者等が安心して生活できる環境を作っていきましょう。
ハンセン病の歴史について
国の施策により強制的に隔離された患者の方は、外出も退所も認められず、家族への差別を恐れて偽名を名乗ることを余儀なくされ、子どもを持つことを禁じられるなど、壮絶な偏見や差別の中生きてこられました。国は平成8年の「らい予防法」廃止まで、この隔離政策をとり続けたのです。長年にわたるこの政策によって、ハンセン病は「怖い病気」として定着していました。昭和24年頃には特効薬で完治するようになりましたが、偏見や差別が解消されることはありませんでした。
現在、ハンセン病療養所に入所しておられる方々の高齢化が進み、平均年齢は84歳に近づいています。病気は治っていても、身寄りがないことや、長く社会との交流を絶たれてきたこと、偏見や差別が今も根強く残っていることなどから、療養所にとどまる人が少なくありません。入所者が療養所や地域の中で暮らせるように、ハンセン病に対する偏見や差別をなくしていくことが必要です。