更新日:2026年6月18日
ここから本文です。
令和8年度の所信表明(原文のまま)
令和8年第2回市議会定例会の開会に当たり、今後の市政運営に臨む私の所信の一端を申し述べさせていただきます。
このたび、姶良市長選挙におきまして、多くの市民の皆様から厳粛なるご信任を賜り、姶良市政の舵取りを担わせていただくこととなりました。その責任の重さに、身の引き締まる思いでございます。
同時に、この豊かな自然と歴史、人の温かさに恵まれた姶良市を、更に誇れるまちへと育て、次の世代へ引き継いでいく。その強い覚悟を、いま新たにしているところでございます。
私は、鹿児島県内初の女性市長として、多くの皆様から注目いただいています。
しかし、私が目指すのは、性別によって役割や可能性が決められる社会ではなく、誰もが自分らしく挑戦し、力を発揮できる姶良市をつくることです。
政治や行政の場においても、地域の中においても、大切なのは、姶良市民の皆様の暮らしを前に進めるには、いま何を成すべきか。その一点に、全精力を注いでまいります。
また、先月の臨時議会におきまして、新福愛子議長、そして有川ひろみ副議長が選出されました。改めて、心よりお祝いを申し上げます。
市長、議長、副議長という立場に女性が就いたことは、本市にとっても、県内自治体にとっても新しい一歩であります。
しかし、それは単に「女性が就いた」ということにとどまるものではありません。
これまで届きにくかった市民の皆様の声、多様な経験、生活者としての実感を市政に生かし、性別や立場を超えて、より開かれた議論を進めていく契機にしていきたいと考えております。
私は、正・副議長をはじめ、議員の皆様との間に、お互いを尊重し合う開かれた対話と、姶良市の未来に向けた建設的な協調関係を築いてまいります。
本市の人口動態に目を向けますと、先月末に公表された令和7年国勢調査の速報値において、前回の令和2年調査と比較して571人の「微増」となりました。
これは、周辺自治体の皆様との広域的なつながりや、これまで本市を支えてくださった多くの方々のたゆまぬ努力の賜物にほかなりません。
一方で、多くの地方自治体が直面している人口減少と人材不足という課題は、決して対岸の火事ではない厳しい現実であります。
人口の「微増」という結果に決して一喜一憂することなく、次の50年、100年先まで持続可能な豊かさを引き継いでいくためには、私たち一人一人が地域の未来に責任を持ち、共に汗を流していく「協働」の仕組みが必要です。
私は、「市民に一番近い市長」として皆様の声に耳を傾け、この人口維持の好機を確実な成長へとつなげるべく、防災の強化や地域経済の活性化に、職員一丸となって知恵を絞り、市民の皆様と共に歩んでまいります。
まず、市政運営において最優先で取り組まなければならない課題は、昨年の豪雨災害からの復旧・復興であります。
被害を受けられた市民の皆様、事業者の皆様、農地や道路、地域の暮らしに大きな影響を受けられた皆様に、改めて心よりお見舞いを申し上げます。
災害は、一瞬にして日常を奪います。そして復旧には、時間も、労力も、心の支えも必要です。
行政の責任は、単に壊れたものを元に戻すことだけではありません。被災された方々の不安に寄り添い、住まいと暮らしの再建を全力で伴走支援し、同じような被害を繰り返さないための備えを強めていくことです。
道路、河川、農地、公共施設などの復旧を着実に進めるとともに、地域ごとの危険箇所の把握、避難体制の見直し、情報発信力の強化、災害時に支援を必要とする方々への対応など、ハード・ソフト両面から「共創の防災力」を高めてまいります。
市民の命と暮らしを守ることは、行政の最も基本的な使命であり、最も重要な責務です。私は、この復旧・復興を新しい市政の第一の課題として、全力で取り組んでまいります。
私は現在まで、地域を歩き、市民の皆様の声に耳を傾け、現場に学ぶことを大切にしてまいりました。
政治や行政は、遠いところにあるものではありません。毎日の暮らし、子育て、教育、健康、働く場、地域のつながり、災害への備え。それらの一つ一つが、市政そのものであります。
だからこそ、私が最も大切にしたいのは「対話」です。
一方的に決めるのではなく、声を聴き、現場を見て、議論を重ねる。立場の違いがあっても、お互いを尊重しながら、姶良市にとって何が最善なのかを考え抜く。議員の皆様とも建設的な議論を重ね、市民の皆様に開かれた、すぐ動ける風通しのよい市役所をつくってまいります。
私はこれまで、民間企業の経営にも携わり、有機米の栽培や合鴨農法など、食と農業の現場にも向き合ってまいりました。
自然の恵みと厳しさ、地域経済を支える現場の苦労を身をもって学ぶ中で、食こそが人の体と心をつくるものであると実感しました。
私が目指す「ウェルネス」とは、単に病気がないということにとどまらず、体も心も健やかで自分らしく幸せに楽しく生きるライフスタイルであり、食はその基盤になり得ると考えます。
また、国内外の様々な地域の在り方に触れる中で、姶良市の自然や食、暮らしの豊かさにも、改めて大きな可能性を感じております。
さらに、鹿児島県議会議員として、広域的な視点から、医療、福祉、教育、産業、防災など、様々な課題に取り組んでまいりました。そうした経験を全て姶良市のために注ぎ、市民の皆様の暮らしを真ん中に置いた市政を進めてまいります。
これからの姶良市が目指すべき姿は、単に便利なまち、人口が増えるまちというだけではありません。
子どもたちが健やかに育ち、若い世代が挑戦でき、高齢者や多様な文化を持つ人々が安心して暮らし、障がいの有無にかかわらず、誰もがお互いにその人らしさを認め合いながら共に過ごせるまち。
市民の皆様一人一人が主役となり、「このまちに暮らしてよかった」「ずっと安心して住み続けたい」と心から思えるこれからの姶良市を、皆様と一緒に創り上げていくことをお誓い申し上げます。
その実現に向けて、私は市民の皆様、そして議員の皆様と共に歩む、大きく4つの柱を掲げ、市政運営に取り組んでまいります。
第1の柱は、「災害からの復旧・復興を最優先に市民の命と暮らしを守るまちづくり」であります。
昨年の豪雨災害を教訓に、災害に強いまちづくりを進めることは、一刻の猶予も許されない急務であります。
私は、まず被災された方々の住まいと暮らしが再建されるまで、市が全力で伴走支援できるよう最優先で取り組んでまいります。
あわせて、今後の気候変動や頻発化・激甚化する災害に備え、河川の整備や道路・排水機能の維持管理のほか、避難所の衛生環境の改善、備蓄品の充実、プライバシーの確保など避難所機能の更なる強化に向けて様々な対策を講じてまいります。
また、地域によって災害の危険性や課題は異なります。机上の計画だけに頼るのではなく、私自身が自ら現場へ赴き、地域の実情と切実な声を丁寧に拾い上げてまいります。
しかし、地域を守るためには、「公助」の役割を持つ市役所に対応を任せるだけで十分ではありません。地域社会の力を最大限に引き出すことが不可欠であります。
そこで、「自助・共助」の精神に基づいて、地域のつながりの核である自治会・校区コミュニティ協議会や、災害ボランティアの拠点となる社会福祉協議会、自らの地域は自ら守る消防団のほか、経済、医療・介護・福祉などの関係機関と密に連携しながら、地域全体の防災力を高めてまいります。
さらに、災害時に「誰一人取り残さない」ことを目指すため、新たな防災気象情報の積極的な活用や、一人一人の命を守るための「防災タイムライン」の普及など、平時からの備えを積み重ねてまいります。
また、70を超える市内外の企業・団体との災害協定を最大限に生かし、物資供給、応急復旧、避難所支援など、官民連携による災害対応力の向上を図ってまいります。
今後も、災害に強いまちづくりを目指して、新たな企業や団体との協定締結に取り組むとともに、災害対策の更なる強化・拡充を継続して図ってまいります。
第2の柱は、「子どもたちの未来を拓く教育と子育て支援」であります。
私は、全ての子どもたちが、障がいの有無にかかわらず、ふるさとに誇りを持ちながら、夢を描き、挑戦できる環境づくりを進めてまいります。また、世界とも対等に渡り合える力を身につけてほしいと願っています。
これからの時代を生きる子どもたちに必要なのは、知識だけではありません。自分で考える力、人と対話する力、多様な価値観を理解する力、実社会の課題に失敗を恐れず挑戦する力です。
そのために、英語教育や国際感覚の育成に加え、科学、技術、工学、芸術、数学を横断的に学び、これまでにない発想を生み出す「STEAM(スティーム)教育」を推進し、子どもたちが自ら問いを立て、考え、表現し、未来を切り拓く力を育んでまいります。
また、海外の学校や地域との交流、オンラインを活用した国際交流、将来的な留学や海外研修につながる機会づくりにも取り組み、姶良市にいながら世界を身近に感じられる教育環境を整えてまいります。
地域とつながる学習、探究的な学び、そして世界とつながる経験を通じて、子どもたちが広い視野を持ち、自分の可能性を信じて未来に向かえるよう支えてまいります。
あわせて、全ての子どもたちが、自分の夢をあきらめることなく、その子らしく成長し、社会の中で力を発揮できる姶良市でなければなりません。
そのためにも、一人一人の特性に応じた学びの支援、保護者への伴走、福祉・教育・医療の連携を更に深めてまいります。
とりわけ、特別支援学校の誘致につきましては、子どもたちの学びの選択肢を広げ、通学に対する負担を軽減し、地域全体の福祉・教育環境を向上させる極めて重要な取組です。
私のこれまでの県政での経験とネットワークを最大限に生かし、県や関係機関と密に連携しながら、その実現に向けて取り組んでまいります。
子どもたちは、姶良市の未来そのものです。子育てを家庭だけに任せるのではなく、地域全体で支え、行政がしっかり伴走する市政を目指します。
保育の質の向上や子育て世帯の経済的負担の軽減、さらには子どもたちの心と体を健やかに育むオーガニック給食の推進など、安心して生み育てることができる環境づくりをハード・ソフト両面から一体的に進めてまいります。
第3の柱は、「食と農を生かした健やかな姶良づくり」であります。
姶良市には、豊かな自然、実りある農地、そして素晴らしい食の恵みがあります。この貴重な地域資源を守り、育て、次の世代につないでいくことは、これからのまちの大きな活力となります。
有機農業をはじめ、環境に配慮した持続可能な農業の推進、次世代の担い手の育成、地元農産物の活用の場を広げ、農家の皆様の所得向上に向けた取組を進めてまいります。
特に、子どもたちの食は未来への大切な投資であります。学校給食における地元食材や有機農産物の活用につきましても、農家の皆様、学校現場、保護者、そして関係機関の皆様と丁寧に協議を重ね、現場の課題を一つ一つクリアしながら、子どもたちの健やかな成長のための確かな一歩として、段階的に、かつ、着実に進めてまいります。
また、姶良市には、まだ広く知られていない魅力ある特産品や食材、伝統的な手仕事など、数多くの地域資源が眠っています。市民の皆様が、日常の中でこれら姶良市の宝物に触れ、その真の価値を再発見し、誇りに思える機会を増やしてまいります。
同時に、これらの一級品の付加価値を高め、市内のみならず広く全国へと発信していくことで、「健康食の聖地・姶良」としてのブランドを確立し、観光や地域ビジネスの活性化へとつなげてまいります。
地元のものを知り、味わい、選び、応援する。その市民の皆様一人一人の小さな積み重ねが、地域経済を力強く支え、ふるさとへの深い誇りを育てる確かな力になると確信しています。
第4の柱は、「姶良市ならではの人と産業を育てる地域経済の循環」であります。
姶良市は、鹿児島市に近く、交通の利便性にも恵まれた、非常に暮らしやすいまちです。
このまちには、多様な経験や技術、そして地域を愛する「豊かな人材」が溢れています。
私は、本市を単なるベッドタウンで終わらせるつもりはありません。これからは、恵まれた環境と豊かな人材の力をつなぎ合わせ、自立して『稼げるまち』へと進化していく必要があります。
いま国内外では、健康で心豊かに暮らしたいという時代の大きな流れがあり、本格的な超高齢社会を迎える中、ウェルネス、病気を未然に防ぐ「未病」への対応、健康、食、自然体験、そして心身のケアに関する分野が市場として大きく広がっています。
本市が目指すのは、高齢者の皆様をはじめ、全ての市民が健康で、役割と生きがいをもって輝ける社会の実現であり、姶良市は、これらの成長分野において、無限の可能性を秘めたまちであります。
たとえば、「食と健康」、「農業と福祉」、「自然と観光」、「運動と予防医療」、「地域資源と学び」、「多才な能力を持つ人材の発掘」を結びつけることで、姶良市ならではの新しい産業を生み出すことができます。
あわせて、豊富な経験をもつ高齢者の皆様が、生涯にわたって生きがいを持ち、その知恵や活力を地域社会で発揮できる場を確保することは、新たな産業の創出にもつながることが期待されます。
その牽引役として、医療機関、大学や研究機関、地元の金融機関や起業家の皆様、民間事業者、農業・福祉関係者、そして市民の皆様と密に連携しながら、健康寿命の延伸、未病への取組、食育、自然を生かした健康づくりを一体的に進めてまいります。
市民の健康を育む取組が、市内の企業を活気付け、新しい雇用を生み、地域経済を動かし、姶良市という都市の価値を高めていく。そうした「健康と経済の好循環」をつくることこそが、これからの地域経営に不可欠です。
姶良市に住む人が、地元の食を知り、自然に触れ、健康になり、地域の産業を応援する。そして、このまちを支える「豊かな人材」との交流を通じて、市外からも「姶良市に行ってみたい」「ここでビジネスに挑戦したい」「姶良市で暮らしたい」と思っていただき、本市のファンである関係人口、交流人口を増やしていく。
私は、姶良市を、便利なベッドタウンにとどまらず、健康、食、自然、暮らしの豊かさを生かした、独自の産業が芽吹くまちへと発展させてまいります。
そして、この姶良市の魅力を県内や国内にとどまらず、世界中の人々をターゲットにした情報発信を行ってまいります。
もちろん、そのためには市役所自身も大きく変わらなければなりません。
前例にとらわれずスピード感とコスト意識を持って『すぐ動く市役所』へと生まれ変わり、市民の皆様に分かりやすく、寄り添い、信頼される行政運営に努めてまいります。
議員の皆様、そして市民の皆様。
災害からの復旧・復興、人口減少、少子高齢化、地域経済の維持、そして公共施設の在り方、また、世界に目を向けると、中東をはじめとする各地の紛争や、国際的な対立により、ガソリン価格や光熱費の高騰、食料品の値上げという形で、市民の皆様の家計や地元事業者の経営を直撃するなど、私たちの前には、大きな課題があります。決して簡単な道のりではありません。
しかし、私は悲観しておりません。
姶良市には、美しい自然があります。豊かな食があります。地域を深く愛する人がいます。次世代へ挑戦する力があります。
そして何より、このまちを未来へ、次の世代へよりよい形で引き継ぎたいという、市民の皆様の切なる思いがあります。
これらの難局を乗り越えるためには、議員の皆様との建設的な対話と、市民の皆様による知恵の結集が不可欠です。
私は、市長室の扉を開き、自ら地域や現場へと飛び出し、声を聴き、皆様と共に考える市政を進めてまいります。
対立ではなく対話を。
停滞ではなく挑戦を。
諦めではなく希望を。
姶良市を、全ての子どもたちが自由に意見を発信し、自分の夢を信じて挑戦し、世界と対等に渡り合う力を育めるまちへ。 高齢者が豊かな知識と経験を生かしながら、生きがいと誇りをもって活躍し続けられるまちへ。さらに、様々な文化を持つ人々も安心して暮らし、市民一人一人が自分らしく輝けるまちへ。
そして、単なるベッドタウンではなく、ウェルネス、未病、健康、食、自然をそれぞれ有機的につなぎ合わせ、姶良市ならではの新しい産業が次々と芽吹くまちへ。
その実現に向けて、私は市民の皆様の先頭に立ち、全身全霊で市政運営に臨んでまいります。
最後になりますが、本日、御多用にもかかわらず、この議場に足をお運びいただき、温かい眼差しを向けてくださっている傍聴席の皆様。
インターネットのライブ中継を通じて、それぞれの場所から私たちのまちの未来を見守ってくださっている多くの皆様。
そして、この議場において真摯に耳を傾けてくださっている議員の皆様。
皆様のその関心と期待こそが、私の何よりの原動力です。
皆様の温かい御理解と御協力を心よりお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
