更新日:2025年3月12日
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令和7年度の姶良市施政方針(原文のまま)
1 はじめに
令和7年第1回市議会定例会の開会に当たりまして、市政に臨む所信を申し上げます。
また、令和7年度における主要施策の概要と市政運営に対しましての、私の所信の一端をご説明申し上げます。
二期目の任務を遂行している現在、私が一貫して掲げております「成熟したまちへの成長を目指す」という目標のもと、昨年は様々な大きな事業が達成されました。5月に姶良本庁舎、11月には加治木支所が開庁しました。およそ10年の年月をかけ、デジタル化やバリアフリー、さらには防災上の拠点として整備されました。市民の期待に応える形で順調にスタートできたのは、市議会をはじめ多くの市民の方々のご協力とご理解、ご尽力の賜物であると心より感謝申し上げます。
また、大きな柱である「子育てしやすいまちへの成長」においても、昨年4月に子ども館「ちるどん」がオープンし、多くの子育て世代の方々から好評を得ています。当初、年間1万5,000人の来場者を見込んでいましたが、今年の1月末現在ですでに4万5,000人を超えています。これは「ちるどん」が今の子育て世代のニーズにマッチした施設であり、子育て支援の中心拠点に成長していく可能性の高い施設である証左だと考えています。これからも姶良市の子どもたちがすくすく育ち、子育て中の方々の心の支えになるよう、様々な工夫を凝らし努力をしていきたいと思っています。
令和7年度も昨年度に引き続き、市民の皆さまの基盤である生活環境を整備する施策を継続して展開したいと考えております。主なものは、「市道の補修整備事業」と「通学路防犯灯設置事業」です。
市道の補修整備につきましては、年次的な優先順位に従って昨年同様、スピード感を持って集中的に対処していきます。
また、防犯灯設置につきましては、現在、必要性の度合いの調査を終え、優先順位を付し、4月から実際に設置していくことになります。今後も「姶良市全体を明るく安全な街に」を念頭に、犯罪や事故を未然に防止するため年次的に実施し、子どもたちの安全、また市民の皆さまの安心を守っていきたいと考えています。
いま、姶良市は飛躍の時を迎えています。「街の住みここちランキング」で令和6年度に5年連続1位を獲得したことに象徴されるように、姶良市はいま熱い鉄であり、まさに飛躍する絶好の時であります。市民の皆さまとともに、さらに成長の可能性を追求し、成熟したまちへの成長を目指していきたいと思っています。
新年度の令和7年度になりますと、高等教育機関の誘致に進展があります。姶良市と高大官連携協定を締結している岡山理科大学が、4月1日に「通信教育部」を新たに開学します。その通信教育部情報理工学部に「姶良サテライトセンター」が設置され、同じ日に加治木駅近くに開校することになりました。
サテライトセンターでは、岡山理科大学と結んでオンライン講義を受けることができたり、岡山理科大学の講師がセンターに派遣され、特別講義を実施したりします。
一昨年、姶良市と岡山理科大学、そして並木学院高等学校が締結した高大官連携協定によって、今回、高等教育機関の誘致がひとつ前進したものと考えています。間もなく「姶良サテライトセンター」を示す看板が加治木駅のホームから見える位置に設置されるということで、開校に向けてその存在が高校生をはじめ多くの市民の目に触れることになります。
さらに、4月、蒲生に鹿児島県立の林業大学校が開校します。現在の「森の研修館かごしま」内に設置され、林業の基礎や森林経営、調査測量などのカリキュラムが準備され、基礎知識から最先端技術まで学ぶことができます。姶良市としましても、
鹿児島県と連携しながら林業大学校へ通う研修生への生活支援を実施したいと考えています。姶良市に林業大学校が開校すれば、県内各地や県外からも若者が集まり、まちの賑わいも期待されます。
また、林業に就業する人を多く輩出することによって、担い手不足にある林業の活性化にもつながると考えています。新たな高等教育機関などの開校によって姶良市にさらに若者が集まり、近い将来、地元で学び地元で就職できる環境が作られ、若者が闊歩する活気あふれるまちづくりにつながるきっかけにしたいと思っています。
今年1月に宮崎県沖の日向灘を震源とする最大震度5弱の地震が発生しました。姶良市でも震度4を記録しケガ人もでました。災害はいつ襲ってくるかわかりません。特に地震は準備をする間もなく発生します。今年も引き続き、災害に強いまちづくりはもちろんのこと、市民の皆さまが自然災害や防災対策について意識を高めていただき、自分の命は自分で守るという知識を身につけていただくよう、企業や自治体と締結した災害協定や国の指針と動き、さらには平時からの備えの重要性など様々な防災対策情報を随時発信するなど努力してまいります。
また、今年はこれまでのスポーツによる活性化策に加え、スポーツを通じた交流人口・関係人口の増加を図っていきたいと考えています。姶良市は、交通の便が良く、県内外を問わず各地から往来しやすい場所に位置しています。
その利点を存分に生かし、様々なスポーツのチーム合宿や自主トレーニングへの場所の提供、またプロリーグの試合誘致、九州大会や全国大会の開催誘致やeスポーツのイベント展開などを推進し、選手や関係者、ファンやメディアなど多くの人が姶良市を訪れ、交流人口と関係人口の更なる増加を目指したいと思っています。そのことにより、姶良市の子どもたちが自然と、活躍する有名選手やトップレベルの技術などを見たり触れたりできる機会が多くなると期待しています。今後、先進自治体等を研究し、スポーツでにぎわうまちとして前に進めていければと考えています。
今年も引き続き「成熟したまちへの成長を目指す」ことを目標に掲げ「すべてを姶良市のために。姶良市民のために」をモットーに市政運営に邁進してまいります。
「姶良市は住みここちがいいんですってね」「姶良市はいま元気があるよね」「姶良市は人口が増えて子どもも多いんだってね」などなど、最近、姶良市以外にお住まいの方々からよく聞く言葉です。姶良市のイメージが一つのブランドとなって一人歩きし始めました。これから先もこのブランドイメージを更に高めることができますよう、市民の皆さま、市議会議員の皆さま、一致協力して未来の姶良市民のために姶良市を前進させていきましょう。
2 主要施策の概要
次に、令和7年度に展開する主要施策の概要について、第2次総合計画に掲げる6つの政策に基づき申し上げます。
協働・自治
第1に、市民と共にまちを創る「協働・自治」についてであります。
本市では、これまでも校区コミュニティ協議会や自治会、地域団体など、多様な地域組織が主体となって、地域の特性に応じた魅力ある活動を展開しており、引き続き、市民自らが主体的に取り組む「市民参加型のまちづくり」を積極的に後押しし、関係人口や交流人口の増加につなげてまいります。
また、令和7年度から8年度にかけて第3次姶良市総合計画を策定することとしており、市内の高校生が参加する「あいら若者まちづくり会議」をはじめ、あらゆる年代の市民の皆さまから様々なご意見やご提言をいただきながら、本市が目指す将来の姿と、それを実現していくために総合的に取り組むべき施策を示し、姶良市が「住みここちのよいまち」、「住み続けたいまち」として、更に発展し続けるまちづくりを展開してまいります。
国は、ICT技術も活用しながら、新たな地方創生施策を展開することとし、「新しい地方経済・生活環境創生本部」において、今後10年間集中的に取り組む基本構想を策定するとしています。
本市におきましても、国が進める地方創生に連動し、令和6年度中に策定する第3期姶良市総合戦略に基づき、全国的に人口減少や少子高齢化が進む中にあっても、第2期と同じく人口8万人を目標として各種施策について全庁横断的に取り組んでまいります。
昨年10月に“デジタルで人にやさしい街”推進宣言を行うとともに、本市の政策形成や課題、DX推進に向けた取組などにおいて、専門的立場から支援や助言をいただくことを目的にDXフェローを委嘱しました。
今後においては、市民一人一人に寄り添う姿勢を大切にしながら、子どもからお年寄りまで全ての市民に「姶良市に住んで良かった」と実感していただけるよう、デジタル技術の積極的な活用を更に進めてまいります。
一人一人の人権の尊重に向けた男女共同参画の推進については、第3次姶良市男女共同参画基本計画に基づき、全ての人が人権を尊重され、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の構築を目指し、国や県、近隣自治体及び関係機関などと連携・協力して、あらゆる分野における関連施策を実施してまいります。
自主財源の確保や地場産業の活性化、シティプロモーションに寄与する、個人版ふるさと納税及び企業版ふるさと納税については、新たな返礼品提供事業者や魅力ある返礼品の掘り起こしを継続的に行うとともに、ポータルサイトへの効果的な広告掲載やふるさと会への働きかけなどにより、更なる「あいらファン」の開拓に努めてまいります。
全国的に増加傾向にある適切な管理が行われていない空き家は、建物の破損や樹木の繁茂など、防災・防犯・衛生・景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしています。市としましては、第3次空家等対策計画に基づき、空き家の適正管理を促すとともに、空き家の利活用や除却、修繕などを促進し、予防から跡地利用までを視野に入れた対策の展開により、安全・安心な生活環境の保全を図ってまいります。
本市の中山間地域では、高齢化による人口減少が顕著であり、地域活力の衰退が危惧されるため、移住者に対する支援により、中山間地域への移住・定住の促進に取り組んでまいります。
また、首都圏において、県やNPO法人などと連携しながら移住・定住に関するPR活動を展開し、本市への移住・定住につながる取組を進めてまいります。
子育て
第2に、安心して子どもを生み育てる「子育て」についてであります。
子ども・子育てに関する施策を更に推進するため、令和6年度中に策定する第3期姶良市子ども・子育て支援事業計画に基づき、子育ての悩みや不安の軽減など、保護者の方々が安心して子育てができる環境づくりと子育てに関する情報提供や切れ目のない支援体制の強化・充実のほか、結婚、妊娠・出産、子育ての各ステージに応じた的確な支援に取り組みます。
昨年4月にオープンした子ども館「ちるどん」は、計画を大きく上回る利用者で大変好評をいただいております。
令和7年度は、定期的に行っている子育てに関する講習会や小児科医による子育て講話・相談会及び親子で楽しむイベントを更に充実させ、利用者の気持ちに寄り添った運営に努めてまいります。
また、本市に帰省された際など、臨時的にチャイルドシートが必要となった場合に乳幼児の安全を確保するため、乳幼児を養育している保護者等に対し、チャイルドシートの無償貸出しを実施します。
さらに、相談体制の充実を図る取組として市役所2号館1階に福祉関係を中心とした相談窓口を設置し、子ども相談支援センター「あいぴあ」を中心として、子育てを包括的に支える環境を整えてまいります。
市内の保育所、幼稚園、放課後児童クラブ等の子育て支援施設を対象に森林環境譲与税を活用し、市産材の木製玩具や本棚などの整備を進め、子どもたちが森林の大切さや森林が果たしている役割について理解を深め、直接木に触れる機会の創出に継続して取り組んでまいります。
子育てを支援するための環境整備の推進として、保育所や認定こども園などの新設、改修等に対して必要な支援を行い、待機児童の解消に取り組むとともに、一時預かりや病児・病後児保育など、子育て環境の更なる充実に取り組んでまいります。
また、本市独自の施策として、令和7年度から子ども医療費助成において、新たに課税世帯の中学生も現物給付方式とする運用を開始し、子どもの健康増進と保護者の経済的負担の軽減を図ってまいります。
さらに、市内各地において展開されている「子ども食堂」の安定的な運営を支援するため、食材の共同調達と共同利用に対して助成を行うなど、市内に居住する全ての子どもたちが将来に希望をもって健やかに成長できるように「子どもの居場所づくり支援事業」に取り組みます。
教育・文化
第3に、健やかで豊かな心が育つ「教育・文化」についてであります。
学校教育の充実については、まず、「スーパーサイエンス総合推進事業」を継続して実施し、子どもたちの科学への興味・関心を高め、未来の科学界をリードする人材の育成を図ってまいります。
道徳教育については、児童生徒の道徳性の向上を目指した事業を展開し、学校・家庭・地域が一体的となった取組を推進します。
生徒指導においては、いじめ・不登校や問題行動の未然防止、早期発見、早期対応を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置などにより、学校だけでは解決が困難な事案についても、関係機関と連携して必要な支援を行います。
中学校における部活動の地域移行については、令和6年度中に策定する「姶良市中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動の在り方等に関する方針」に基づき、各学校の実情に応じて、既存の団体や施設の活用、指導者確保などの体制が整った部活動から段階的に地域移行・地域連携を進めてまいります。
特別支援教育については、ユニバーサルデザインの視点に基づき、全ての児童生徒に分かりやすい授業づくりを推進するとともに、各学校の校内委員会の機能化を図り、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた支援の充実に努めてまいります。
また、特別支援学校の本市への設置については、地域の方々の意見を踏まえ、分置候補地等について検討し、県と連携を図ってまいります。
学校施設については、小・中学校の校舎及び屋内運動場等で児童生徒が共に学び、生活し、成長できるよう計画的に施設整備を進めてまいります。
児童生徒が安全で安心して通学ができるよう学校安全ボランティアや地域安全パトロール隊、スクールガード・リーダー等による見守り活動や危険箇所点検など、地域ぐるみで児童生徒の登下校時における安全確保の取組を推進します。
学校給食については、安全・安心でおいしい学校給食の提供に努めるとともに、市内で生産された野菜等を使用した学校給食により、地産地消及び食育の推進に取り組みます。
また、新学校給食センターの整備については、令和9年9月の供用開始に向けて着実に進めてまいります。
高等教育機関の誘致については、4月に岡山理科大学通信教育部情報理工学部の姶良サテライトセンターが姶良市に設置されます。今後、姶良市の未来を担う子どもたちはもとより、市民や地元企業のほか、関係する全ての皆さまとともに、同センターが「知と情報の拠点」となり、「高等教育機関と連携したまちづくり」が更に発展するよう、引き続き高大官連携協定に基づく取組を推進してまいります。
未来を担う青少年の健全育成を推進するため、「あいら未来特使団事業」、「AIRAふるさと学寮」、「AIRAふるさとチャレンジャー」などの様々な体験活動を通じて、子どもたちの豊かな人間性の涵養を図ります。
また、家庭の教育力向上と、地域全体による子育ての機運醸成を目指して、家庭教育学級への支援や家庭教育フェスティバルの開催などにより、「学び・つながる」場を提供してまいります。
文化の薫り高いまちづくりに向けて、県下で最多を有する指定文化財の保存と活用の推進や「太鼓踊り」をはじめとする地域の伝統芸能への継承に向けた支援を行います。
幅広い年齢層から利用されている「中央図書館」と芸術文化の発信・交流拠点である市文化会館「加音ホール」は開館から28年が経過し、施設の老朽化がみられることから、安全かつ快適に利用できるよう施設の長寿命化を行います。
健康・福祉
第4に、誰もが安心していきいきと生きる「健康・福祉」についてであります。
健康づくりについては、令和7年度からスタートする第3次姶良市健康増進計画に掲げる「わたしもあなたも支えあい夢と希望があふれるまち~みんなが主役の健康づくり~」の基本理念に基づき、健康状態の改善、社会環境の質の向上、子どもから高齢者まで、それぞれのライフステージに応じた健康づくりに取り組み、市民の健康寿命延伸と生活の質の向上を図ってまいります。
また、地域医療の充実については、市民が365日24時間安心して生活できる医療体制を目指し、姶良地区医師会をはじめ関係機関の協力をいただきながら実施しております、日曜・休日在宅当番医制や救急歯科診療、二次救急医療における病院群輪番制等に対して、引き続き補助事業などの支援を行ってまいります。
障がい福祉については、第3次姶良市障がい者計画に基づき、引き続き、障がい者・障がい児の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進します。
また、自宅で生活している医療的ケアを必要とする子どもの健康と、その家族の介護負担の軽減を図るため、市内の訪問看護ステーションの看護師などを派遣し、家族に代わって医療的ケアや療養上の世話を行う「医療的ケア児等在宅支援事業」に新たに取り組みます。
高齢者福祉については、姶良市第9期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画に基づき、高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられるよう、本市の地域包括ケアシステムを推進してまいります。
また、在宅の高齢者を長期にわたって介護している家族に対し、支援を行うことで精神的・身体的な負担の軽減を図ります。
さらに、高齢社会に配慮した廃棄物処理体制のひとつとして、介護保険サービスや障害福祉サービスを利用している方で、ごみステーションに搬出することが困難な方を対象に、自宅を訪問して収集を行う「ごみ出し困難者支援事業」に新たに取り組みます。
今後も、生きがい・就労の促進や健康づくりを通じて健康寿命を延ばし、幅広い世代が地域を支える原動力として活躍できるように、多様な通いの場を拠点にした顔の見える地域の支え合いを推進します。
様々な悩みや支援を必要とする人などへの相談体制の充実を目指して、市役所2号館1階に福祉関係を中心とした相談窓口を設置し、子どもから高齢者をはじめ、障がいを持つ人や生活に困窮している人などを包括的に支える環境を整えてまいります。
産業・交流
第5に、まちの魅力が輝き活力にあふれる「産業・交流」についてであります。
本市の基幹産業である農業の振興については、優良農地の確保と農地の集約・集積化、農業用機械の共同利用、圃場整備や湿田対策、農業用水路等の防災・減災対策などの生産基盤整備などにより、農業経営の安定化を図ってまいります。
また、農業の担い手となる若手農業者・新規就農者の確保・育成に力を注ぎ、関係機関と連携して就農初期における農業経営基盤づくりの支援に取り組んでまいります。
本市は、県内有数の有機農産物の産地であることから、生産と消費の拡大を推進することにより、「有機の郷“あいら”」を広くPRしていくことを決意し、本年2月7日に「オーガニックビレッジ宣言」をしました。
有機農産物を学校給食の食材として活用する取組や「煮しめグランプリ」を継続・発展させる取組により、地産地消を促進するとともに、食育活動の推進と鹿児島に伝承される食文化の発信・継承につなげてまいります。
鳥獣被害防止対策については、集落ぐるみによる取組を基本とし、追い払いや収穫しない果樹などの伐採、侵入防止柵の設置など、鳥獣を寄せつけない対策を優先して行います。
林業の振興については、森林環境譲与税を有効に活用し、担い手となる人材の確保・育成や地球温暖化防止などの多様な機能を持つ森林の保全を図る取組や、土砂災害の防止や水源涵養などの多面的機能を有する森林の保全及び竹林整備を進めます。
また、本年4月に開校する「かごしま林業大学校」で学ぶ研修生への支援を行うとともに、林業の担い手育成や森林づくりに対する意識の醸成を図り、森林の適正管理を促進します。
水産業の振興については、藻場・干潟の再生・保全事業と海面及び内水面漁業の育成など、水産振興に取り組む団体の支援に引き続き、努めてまいります。
商工業の振興については、市商工会や市特産品協会との連携を更に深め、商工業者の経営支援や新規事業者の創業支援及び空き店舗を活用した地域経済の活性化のほか、新たな特産品の開発やPR活動を行い、本市の商工業と商店街の活性化につなげてまいります。
若者の都市部への流出防止と所得の向上を図るため、引き続き、市土地開発公社と連携を図りながら、新たな企業の誘致活動を積極的に行うとともに、新たな工業用地の整備・供給などにより、流通業、製造業及びICT関連産業など、成長分野における企業の誘致に努めてまいります。
次に、地域の特性を生かした観光の振興については、第3次姶良市観光おもてなし計画に基づき、「桜島・錦江湾ジオパーク」や「日本遺産・蒲生麓」などの既存の観光資源に新たなストーリー性を加えた魅力度の向上、市内に点在する観光資源のパッケージ化や体験・交流型の観光メニューの強化により、インバウンドを含めた誘客の促進と交流人口の増加に取り組んでまいります。
また、本市の観光協会、特産品協会、商工会などと連携し、「あいら春まつり」や「加治木くも合戦」、「花火大会」、「姶良夜市」、「日本一大楠どんと秋まつり」など、四季を通じて地域の特性を生かした魅力あるイベントを開催します。
さらに、「薩摩おいどんリーグ」や「eスポーツフェス」などのスポーツイベントに加え、本市の地の利を最大限に生かして、様々なスポーツの全国・九州規模の大会や合宿・キャンプなどの誘致活動を積極的に行い、交流人口と関係人口の更なる増加に取り組んでまいります。
なお、令和7年度は本市において日本の森・滝・渚全国協議会「全国自然敬愛サミット」の開催を予定しており、県内外から多くの集客が見込まれることから、姶良市を広くPRできる絶好の機会と捉え、関係人口の増加と姶良市の知名度向上につなげてまいります。
安全・安心
第6に、快適な暮らしを守る「安全・安心」についてであります。
毎年のように影響を受ける大雨や台風に加え、昨年8月と本年1月に発生した宮崎県沖の日向灘を震源とする地震など、近年、自然災害による甚大な被害が全国各地で頻繁に発生していることから、災害から市民の生命と財産を守る防災体制を強化したまちへの成長を目指してまいります。
姶良本庁舎を災害時の防災拠点として、災害発生時の初動体制や市民への速やかな災害情報の受発信、避難所の開設・運営など、職員や関係機関、民間事業者等との連携を緊密に図りながら、迅速かつ適切な対応を行ってまいります。
また、災害時の避難所において安全で良好な避難生活が確保できるよう、平時から備蓄物資の配備を進めます。
さらに、災害時の情報伝達手段である防災ラジオの更なる普及啓発を図るとともに、避難所情報などを共有するためのウェブ情報システム「災救(さいきゅう)マップ」を新たに導入します。
「災救マップ」は、「未来共生災害救援マップ」の略称で、スマートフォンやパソコン等で避難所の位置、開設状況や混雑状況のほか、各避難所における電気・水道などのライフラインの状況などをリアルタイムに誰でも閲覧することができます。
今後、「災救マップ」を活用した、市民への出前講座や防災訓練などを通じて、市民一人一人が防災に対する認識を更に深め、自らの命を守り、地域で支えあう防災行動力の向上と地域防災力の強化に、引き続き取り組みます。
建物火災や林野火災、救急搬送や救助活動などへの対応に加え、県内外の被災地への災害派遣活動など、消防活動の対象範囲が拡大しており、頻発化・激甚化する自然災害や、救急出場の増加に迅速かつ的確に対応するため、消防職員を年次的に増員し、消防力の強化を図ってまいります。
さらに、119番通報時に音声のみでは伝えることの難しい火災や事故などの状況をスマートフォンのカメラ機能を使い、映像を加えることによって、より正確な情報をリアルタイムに伝えることができる「Lⅰve119映像通報システム」を新たに導入し、市民と連携して、効果的な救急救命活動を行い、救命率の向上に繋げてまいります。
消防団は、火災や豪雨・地震などの災害発生時に、地域防災の要として最前線で活動する団体であることから、引き続き、団員の確保・育成に努めるとともに、地域の防火・防災訓練や救急救命講習会などで普及啓発活動を行い、「市民が安全で安心して暮らせる災害に強い地域社会の実現」に向けて取り組んでまいります。
日常生活において、市民が安全に暮らせるまちづくりを進めるため、引き続き、河川の寄洲除去や用排水路の改修及び急傾斜地崩壊対策などに取り組み、市民の安全・安心の確保に努めてまいります。
急速な都市化が進む地域において、局地化する大雨の影響で、恒常的に浸水や冠水が発生していることから、排水機能を高めた排水路の整備を継続して実施し、道路冠水や浸水被害などの軽減に取り組みます。
人口の増加や企業誘致に伴う大型車の往来により、市道が傷んでいるため、昨年度に引き続き、必要な予算を確保し、市民の皆さまが快適で安全に暮らせる道路環境の整備を進めてまいります。
また、老朽化した橋りょう、トンネルについても、長寿命化計画に基づき、年次的な改修等を実施してまいります。
帖佐駅前広場の整備については、地域住民や駅利用者等から幅広く意見を聴取し、市の玄関口として魅力のある都市空間の形成と、交流人口の創出など「にぎわいがあふれるまち」となるよう横断的に事業を進めてまいります。
市民の健康増進や憩いの場として幅広く利用されているビーラインスポーツパーク姶良野球場は、近年、プロ野球・社会人野球・大学野球がその垣根を超えて対戦する「薩摩おいどんリーグ」の会場として利用され、毎年、多くの選手や観客で賑わいをみせております。
しかしながら、施設の供用開始から25年以上が経過し、老朽化がみられることから、プレーヤーや観客が安全かつ快適に利用できるよう施設の改修と機能向上を年次的に進めてまいります。
市民の移動手段のひとつである公共交通については、高齢者などの移動手段を持たない地域住民の日常生活における必要不可欠な公共サービスであり、利用者の利便性向上と利用促進に向けた取組を継続してまいります。
自治会で設置・管理している防犯灯のLED化を推進するため、令和元年度から集中的に取り組んだ結果、一定の効果が表れているものと考えています。
一方で、住宅地の増加や複数の自治会の境界付近など、新たに防犯灯の設置が必要な場所が見受けられます。そのため、夜間における犯罪や事故等の発生防止と、市民生活の安全・安心、特に子どもたちが安全に通学できる環境を整えるため、通学路等への防犯灯を年次的に整備します。
市のごみ焼却施設「あいら清掃センター」は、供用開始から15年以上が経過し、主要な設備の耐用年数に伴い改修が必要なことから、施設の長寿命化計画に基づき、年次的に進めてまいります。
市民のライフラインのひとつである水道については、将来にわたって安全・安心な飲料水を安定的に供給できるよう、重富水道施設の整備や老朽管の布設替えなどに取り組むとともに、防災・減災の観点から、災害に備えた避難所等の重要施設に接続する管路の耐震化を強化してまいります。
3.今後の行財政運営について
次に、今後の行財政運営についてであります。
我が国経済は、緩やかな回復を続けると見込まれる中、現下の物価高において、国民一人一人が賃金・所得の増加という形で、豊かさを実感できるよう、幅広い方策を検討する必要があります。
国は、令和7年度の予算編成に当たって、令和6年度の補正予算と一体的に足元の物価高、賃金や調達価格の上昇に対応しつつ、デフレを脱却し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現することを目指し、物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着、官民連携による投資の拡大、防災・減災及び国土強靭化、充実した少子化・こども政策の着実な実施など重要な政策課題に必要な予算措置を講じ、メリハリの効いた予算編成とするとしています。
また、地方財政については、社会保障関係経費や人件費の増加及び物価高が見込まれる中、地方公共団体が様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう一般財源の総額について、令和6年度を上回る額を確保したとしております。
次に、鹿児島県は、令和7年度の予算編成に当たって、持続可能な行財政構造を構築するため、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に引き続き取り組む必要があるとし、「かごしま未来創造ビジョン」に沿って、新たな取組を重点的に推進するため、メリハリをつけた予算配分や事業の見直し・組替え等を行うとしています。
姶良市におきましては、賃金上昇はあるものの、物価高の影響などにより市内経済はまだ十分に回復しきれていないと考えられ、歳入の根幹である市税については予測しにくい状況にあります。
一方、歳出については、高齢化の進行などによる社会保障関係経費の更なる増加や、公共施設の老朽化対応などの費用負担に加え、原油価格・資材の高騰による燃料費、光熱水費、委託料などの経費の増加など、多額の財政負担が見込まれております。
このような中におきましても、物価や景気、賃金上昇、国・県の動向を注視し、生活に豊かさを感じることができるような施策に取り組みながら、健全な財政運営に努めてまいります。