更新日:2020年2月17日
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令和2年度の姶良市施政方針(原文のまま)
令和2年、第1回姶良市議会定例会の開会にあたりまして、市政運営についての基本的な考え方及び主要施策の概要等を述べますとともに、今回提案しております議案第1号 令和2年度姶良市一般会計予算から議案第9号 令和2年度 姶良市下水道事業会計予算までの提案理由につきましてご説明申し上げます。
1市政運営の基本的な考え方
まずは、市政運営の基本的な考え方であります。
56年ぶりに東京で開催される「オリンピック」。そして「パラリンピック」。48年ぶりに鹿児島県で開催される「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」。
今年、令和2年、2020年は、日本国民・鹿児島県民、そして私たち姶良市民にとって記憶に残る節目の年となります。
東京オリンピック・パラリンピックでは、姶良市を聖火ランナーが駆け抜けます。
多くの競技は、遠く離れた東京などでの開催ではありますが、聖火ランナーとして参加し、また小旗を振りながら聖火ランナーを声援することで、世界が注目する56年ぶりのスポーツの祭典を実感することでしょう。
また、「燃ゆる感動かごしま国体」では、姶良市で「成年男女のバスケットボール」、「女子のゴルフ」、「成年男子のライフル射撃」が正式競技として、またデモンストレーションスポーツとして「ペタンク」と「ダンススポーツ」が開催されます。
「燃ゆる感動かごしま大会」では、知的障がい者による「バスケットボール」が開催されます。
昭和47年に開催された太陽国体以来の鹿児島県内での国体に、胸躍らせている方々も多くいらっしゃると思います。
県内外からも多くの方が姶良市を訪れることでしょう。姶良市をアピールするチャンスです。国体で来られた方が、また姶良市を訪れたいと思ってもらえるように、市民全員でおもてなしの気持ちで迎えましょう。
日本国中がスポーツで盛り上がる今年、令和2年、2020年を記憶に残る年にしていこうと思います。
「記憶に残る年にする」といえば、2020年はもうひとつ姶良市にとって重要な節目の年でもあります。
今年は、姶良市が合併して10周年を迎えます。市制施行10周年です。
姶良市は、2010年、平成22年3月に姶良町・加治木町・蒲生町の3町が合併して誕生しました。まだまだ皆様の記憶に新しいことだと思います。
そこから10年の歳月が経ち、姶良市は、市民の皆様の不断の努力によって住みよい町として大きく成長し、いまや人口減少時代にあって、鹿児島県内で唯一人口が増加している市になっています。子どもたちの人口も増え、町中が活気に包まれています。
10周年を迎えた今年は、姶良市の未来を支える子どもたちの記憶に残るような1年にしたいと思っています。
市民の皆様のアイデアや活力を結集し、多くの方が参加していただくような式典やイベントを展開しながら、姶良市民全員で盛り立てていく1年にしていきましょう。
そして、次の10年に向けて市民の皆様が安心して暮らせるまちづくりを実行していかなければなりません。その努力を重ねてまいります。現状に満足してはいけません。
前進する足を止めず、更に住みやすいまちづくりを実行していくことが肝要だと考えています。
「すべてを姶良市のために。姶良市民のために」
これが私のモットーです。就任以来変わることなく、またこれからも一意専心で掲げていきます。
そして、「第2次総合計画」では、まちづくりの基本理念を「可能性全開!夢と希望をはぐくむ まちづくり」としまして、姶良市が持つ大きな可能性を伸ばしていこうという目標を掲げています。
その目標のもと、今年も更に姶良市の可能性を引き出しながら結果を求めて邁進していきます。
私が推進する施策においては、すでに現在種まきが終わり萌芽と成長、実りを促すもの、また、まだ種まき中であり時間はかかりますが、確実に進捗させているものがあります。
前者は、「全天候型子ども館の設置」と「帖佐駅前再開発」、「大型グラウンドゴルフ場の設置」です。
「全天候型子ども館」につきましては、昨年、場所も決定し、令和3年度の完成を目指し、内容の検討に入ります。
子育て世代の方々や子どもを育てる方々が、悩みやストレスを解消しながら安全・安心に子育てができ、子どもたちがのびのびと遊べる空間をできるだけ早く作り上げていきたいと考えています。
「帖佐駅前再開発」につきましては、帖佐駅前の広場を拡充・整備することにより、駅を使いやすくするとともに、バスやタクシー、駐輪場の利便性を高め、歩行者の安全性を確保していきます。
また、駅前からイオンタウン姶良方面に伸びる県道につきましては、これまでも姶良市から鹿児島県に対して、駅前広場整備に併せた道路整備を働きかけているところであります。
今後、県においては、駅前を中心としたまちづくりを積極的に進める観点から、都市計画道路・帖佐駅三拾町線の整備に向けた検討を進めていきたいとしております。
「大型グラウンドゴルフ場の設置」につきましては、現在、場所の選定中であります。
健康寿命の延伸や、愛好者の増加などを鑑みれば、できるだけ早い完成を目指すものであり、そのためには設置場所候補を姶良市が所有する土地で検討し、絞り込みを進めているところであります。
次に、まだ種まき中ではあり、時間はかかりますが、確実に進めている施策は「高等教育機関の設置」です。
昨年、組織改編で「高等教育機関企画課」を新たに設置し、専任の職員を配置し、先見事例など多くの調査・研究を行ってまいりました。
文部科学省などとも連携をとり、実現に向けての作業を行っているところです。
また、これまで議会でも答弁したとおり、多くの可能性を排除せず、公立大学法人の短大に限らず、4年制大学やサテライトキャンパスの誘致などについても研究しているところです。
学部についても現代のニーズにあった学問を選択することも視野に入れ、幅広く研究していきます。
これからも更に深く調査し、研究していく姿勢に変わりはありませんが、姶良市を含む多くの若い人たちが地元で学べる高等教育機関の実現に向けて鋭意努力していく所存です。
昨年も日本各地で大きな自然災害に見舞われました。大雨や台風、川の氾濫などで、いまだに被災したまま厳しい生活環境の中で不自由な生活を余儀なくされている方々もたくさんいらっしゃいます。心からお見舞い申し上げます。
防災については、姶良市も対岸の火事とせず、今年も大きな覚悟を持って臨んでまいります。
避難所での生活を余儀なくされた際の物資の供給、水道や電気・ガスといったライフラインの確保、福祉避難所の充実など、さまざまな事態に対応するべく企業や団体と災害協定を結んでいます。さらに、国の機関や自衛隊などとの協力体制も構築しています。
姶良市では、今後も早めの避難勧告など災害情報を的確に発信し、市民の皆様と共有する姿勢でまいりますので、一人一人が自分の命を守ることを意識して行動していただきたいと思います。
全体的な人口は増えている姶良市ですが、山間部では確実に減ってきています。年年歳歳、里山は空き家が目立ち、山の管理も行き届かなくなっているのが現状です。
サルやイノシシ、シカの鳥獣被害に悩まされ、高齢化と若者不足が止まらず、厳しい生活を強いられています。
そのような中で、昨年から本格運行しています予約型乗合タクシーはおおむね順調に運用されており、中山間地域にお住まいの高齢者等の生活の足として利便性の向上が図られています。
鳥獣被害に対しては、今後、サルの生態調査のデータを基にして、集落ぐるみの被害防止対策を提案していきたいと考えております。
空き家対策へもこれまでと同様、積極的に取り組み、官民一体となった支援を実行していきます。
抜本的にはまだまだ足りないところはたくさんありますが、日々考え、努力をしてまいります。
私はこの一年、山間部地域の行事などにも数多く参加してまいりました。
北山や山田地区、蒲生の漆などは、地域活性化の独自の形が軌道に乗ってきたと感じています。
地域で考えた独自のイベントを更に発展させ、ますます多くの人が山間部を訪れるようになりました。その不断の努力は、心から敬意を表するところです。
地域のことを一番知っていて、一番愛しているのはそこに住む方々です。私はそういう地域こそ優先的に行政が手を差し伸べ、一緒に活性化を進めていくべきだと考えます。
最近になって、これらの地域活動に刺激を受けた別の地域も多く見受けられるようになりました。このように過疎地域が刺激しあい、切磋琢磨する姶良市であってほしいと思っています。
「すべてを姶良市のために。姶良市民のために」
私が掲げるモットーは、現在、そして今後も一点の迷いはございません。
私は、姶良市が10周年を機に更に活気付き、若い人たちが夢を持ち、子どもたちが安心して学校に通え、高齢者の方々が生きがいを持って元気に過ごせるまちづくりを推進してまいります。
2主要施策の概要
次に、「令和」という新しい時代の本格的な始まりを迎えるに当たり、本市の持つ可能性を最大限に生かし、第2次総合計画の基本構想を実現するために展開する主要施策について、その概要を申し上げます。
協働・自治
第1に、市民と共にまちを創る「協働・自治」の分野についてであります。
多岐にわたり市民の皆様が求めるニーズに応え、市民一人一人がまちづくりの主役となるためにも、校区コミュニティ協議会や自治会といった地域団体、
NPO法人などの市民活動団体を「協働」のパートナーとして、共に地域を支え、市民と行政が一体となったまちづくりを進めることが必要であると感じています。
このため、これまでと同様にコミュニティ協議会等への活動支援に加え、ふるさと移住定住促進事業等につきましても、制度見直しを行いながら継続して取り組み、中山間地域の活性化を目指してまいります。
また、本年1月から本格実施しましたコンビニでの証明書交付による利便性向上に加え、男女共同参画推進に基づく、女性の活躍推進につきましても継続して実施してまいります。
なお、懸案となっておりました旧吉田清掃センターの解体は、令和2年度で完了する見込みであり、公立保育所の民営化に向けた準備も着々と進めてまいります。
本年は、市制施行10周年を迎える節目の年であり、5月に祝賀式典や「落語会」を開催するとともに、市で行うイベント等にも「市制施行10周年」の“冠”をつけて、市民の皆様とともに祝う年としていきたいと考えております。
返礼品競争の過熱もあり、制度が見直された「ふるさと納税」につきましては、地場産品を生かしながら、貴重な財源の確保として今後とも積極的に取り組んでまいります。
令和2年度は、いよいよ「複合新庁舎」が“形”となって現れる年になり、本庁舎の実施設計、本庁機能の引っ越し、解体工事、土地購入、加治木庁舎・蒲生庁舎の基本設計などを予定しております。
これまで同様、より良い庁舎となりますよう議論を重ねたいと考えております。
子育て
第2に、安心して子どもを生み育てる「子育て」の分野についてであります。
結婚・妊娠・出産の希望を実現し、安心して子育てができる環境を整えることは、本市の人口増の要因として挙げられます子育て世代の移住・定住の更なる促進や地域活性化につながることから、今後も積極的に取り組んでまいります。
まずは、子育て世代の希望を叶えるため、市民満足度調査において重要度が高く、満足度が低いとされた「子育てを支援するための基盤整備の推進」を実現させる「全天候型こども館」を整備してまいります。
この「全天候型こども館」は、現在の加治木物産館用地を活用して設置するもので、自家用車だけでなく、バス・電車といった公共交通機関での利用がしやすく、この施設に子育て世代が集うことにより、周辺地域の活性化も期待できます。
今後、機能や内容の詳細検討を進め、令和3年度の着工・完成を目指してまいります。
また、民間による保育所新設の計画に対しましては、待機児童対策の一助として期待しており、市としましても支援してまいります。
そのほか、子ども医療費助成の継続や「子ども相談支援センター“あいぴあ”」の充実も図ってまいります。
教育・文化
第3に、健やかで豊かな心が育つ「教育・文化」の分野についてであります。
次代を担う子どもたちの健全な育成を図るとともに、若者世代の市外への転出を抑制するための施策を進めてまいります。
学校教育では、学校備品の整備やスーパーサイエンス総合推進事業及びモラリティ・インプルーブメント推進事業を継続して実施してまいります。
社会教育では、健全な青少年の育成に向け「あいら未来特使団」の継続と併せ、生涯学習の推進を図ってまいります。
今後とも、教育・文化に関する施策の充実を図るとともに、姶良市誌史料集の刊行や「蒲生のクス」保護増殖などを行うことにより、歴史や文化財の持つ意義への理解を深める事業を展開してまいります。
高等教育機関の設置に向けては、幅広い調査・研究を進めているところであり、一定の方向性が示せる段階になりましたら、市民や議会にもお示ししたいと考えております。
健康・福祉
第4に、誰もが安心していきいきと生きる「健康・福祉」の分野についてであります。
市民の皆様が、健やかでいきいきとした生活を送ることができますよう、健康の保持・増進に取り組む環境づくりや意識啓発に努めてまいります。
特に、2025年問題やその先の2040年問題に象徴されますように、超高齢社会への備えとして「健康寿命の延伸」に取り組んでまいります。
その、施策の一環として、「大型グラウンドゴルフ場」の整備を第2次総合計画の重点プロジェクトに位置づけており、市有地の有効活用も念頭に、検討を進めてまいります。
また、用途を拡大した「健康・長寿支援チケット“あいあい”」の継続や、障がい者の生活を支える「基幹相談支援センター“あいか”」及び「地域包括ケアシステム」による介護予防サービス等の充実を図るとともに、
ボランティア活動支援など地域福祉の向上にも努めてまいります。
さらに、「よかあんばい運動 適塩プロジェクト」などに継続して取り組むことにより、市民の皆様の健康を守る活動を展開してまいります。
産業・交流
第5に、まちの魅力が輝き活力にあふれる「産業・交流」の分野についてであります。
本市経済において重要な役割を果たす、中小企業・小規模企業の振興に係る基本理念を掲げるとともに、
市の責務、議会の役割、中小企業等の努力、関係団体の協力等を明らかにした「姶良市中小企業・小規模企業振興基本条例」を本定例会に上程しており、条例の基本理念の実践により、市民生活の向上を目指してまいります。
商工業の振興としましては、商店街活性化事業を継続するなど空き店舗対策や起業の支援に努めてまいります。併せて、観光PRやまつり補助による観光振興を行ってまいります。
特に、「重富地区のまち歩き」に資する取組や、昨年「日本遺産」に認定されました“蒲生麓”の魅力を引き出すプランを策定してまいります。
農林水産業をはじめ、商工業、サービス産業等が、協力し合うことで、地域特性を生かした新たな産品の開発、雇用の維持・拡大や産業の活性化が期待できることから、農商工連携などを推進してまいります。
また、昔ながらの地域資源を生かし、その価値を広く知っていただくため、令和2年度から「煮しめグランプリ」を開催し、鹿児島に伝承される食文化の発信や地産地消につなげてまいります。
農林水産業の振興を図るため、防災営農ハウスの設置費助成、高性能林業機械の導入補助、漁港の整備及び有害鳥獣対策などに積極的に取り組み、条件整備に努めるとともに、認定農業者の支援などハード・ソフトの両面から農林水産業を支えてまいります。
安全・安心
第6に、快適な暮らしを守る「安全・安心」の分野についてであります。
昨今、全国各地で想定を超える大きな災害が多発しており、自然災害から市民を守るための対策を急ぐ必要があります。
令和2年度は、新たな「総合防災マップ」の作成や、排水路整備の継続を計画しております。
また、本市の持つ豊かな自然環境と県央にある利便性を高めるため、道路網整備や帖佐駅前再開発など社会資本の整備を進めてまいります。
併せて、総合運動公園整備の継続や市営住宅の改修などにより、都市機能を高め、防犯灯のLED化を加速させ、犯罪のない明るいまちづくりを目指すとともに、交通安全教育等にも努めてまいります。
市民の皆様の暮らしやすさを支える公共交通機関の確保を図るため、予約型乗合タクシーの拡充など移動手段の維持に努めてまいります。
昨年は、市内におきまして、火災が多発したことから「非常事態宣言」を発令し、啓発等を行っており、今後とも、継続して市民の安全・安心を守る消防施設の整備や機材の更新に時機を失せず対応してまいります。
ライフラインの一つである水道につきましては、水道ビジョンに基づき、老朽管の年次的な更新等に努めてまいります。
以上、主要施策の概要を申し上げましたが、複合新庁舎の建設という「50年に一度」の大事業を進めるに当たっては、
これまでのようなスピードで、大きな費用を要するプロジェクトを展開していくことは大変難しくなることが予測され、優先順位を熟慮することも必要になると考えております。
最後に、本年は100年目を迎えた「国勢調査2020」の実施年でもありますし、「Society5.0」の推進に象徴されるような、
「5G」・「IoT」・「AI」などの技術を行政サービスの分野でも活用する動きや、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標“SDGs”」を具体的に進める機運が高まることが予測される年でもあります。
このような時代の変革や市民の皆様が求めるニーズを敏感に捉えながら、地方創生や強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくりに向け、有用な施策を実現させてまいります。
3経済情勢と国・県の予算等
次に、経済情勢と国・県の予算等につきまして申し上げます。
今年1月の内閣府の「月例経済報告」では、我が国の経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続くことが期待されるが、
英国のEU離脱等の海外経済の動向や、消費税引上げ後の消費者の動向に留意する必要があるとしております。
国の令和2年度の概算要求では、消費税引上げの需要変動に対する影響の程度や最新の経済状況等を踏まえ、引き続き歳出改革に取り組み、経済・財政一体改革を着実に推進するとともに、
次世代型行政サービスへの改革、「見える化」の徹底・拡大などの国民各層の意識改革や行動変容につながる歳出改革等に向けた取組への予算の重点配分を推進するとしています。
地方財政については、地方団体が人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう地方交付税等の一般財源の総額について、令和元年度を上回る額を確保したとしております。
また、鹿児島県においては、扶助費や公債費の増加が見込まれ、今後も厳しい財政状況が続くとしたうえで、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に引き続き取り組む必要があるとし、「新しい力強い鹿児島」の実現に向けた各種施策の重点化、見直しを行うこととしています。
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