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更新日:2024年2月27日

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令和6年度の姶良市施政方針(原文のまま)

1 はじめに

令和6年第1回市議会定例会の開会に当たりまして、市政に臨む所信を申し上げます。

 また、令和6年度における主要施策の概要と市政運営に対しましての、私の所信の一端をご説明申し上げます。

 はじめに、年明け早々、元日の夕方に発生した「令和6年能登半島地震」では、多くの住民が犠牲となりお亡くなりになりました。1か月以上たった今でも行方不明者、そして避難所で困難な生活を強いられている方々が大勢おられます。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申しますとともに、被災された全ての方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、今年、令和6年は「甲辰(きのえたつ)」年です。これには「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」という意味があるといわれています。まさに姶良市にとって今年は、甲辰(きのえたつ)のごとく成長に向けて姿を整えていく年になります。

 まず、5月に新しい姶良本庁舎がオープンいたします。デジタル化やバリアフリーに対応し、防災拠点としての役割が強化され、市民が気軽に使えるスペースが整備されるなど、今まで以上に市民サービスが充実してまいります。オープンを間近に控えた4月14日には、落成式と市民参加のイベントを新庁舎周辺で開催いたします。50年・60年に一度の新しい市役所の誕生を市民全員で祝い、記憶に残る1日にしたいと考えています。

 また、同じ4月には、子育て支援の拠点となる子ども館「ちるどん」がオープンします。現在、姶良市には多くの子育て世代の方々に住んでいただいております。姶良市の未来を担う宝である子どもたちを育てている保護者の皆さんが、安心して子育てができる環境を整えることが、私たちに課せられた責務です。子育ての不安やストレスにより、児童虐待やネグレクト行為に陥る前に、子ども館「ちるどん」を活用してもらい、安心して子育てができる、その支援拠点として存在したいと思っています。これは、国の定めるこども家庭庁の方針である「こどもまんなか社会」の実現と思いを同じくするものであります。

 ちなみに「ちるどん」という愛称は、市民からの公募により付けられた名称で、子どもたちを意味するチルドレンからの「ちるどん」でもあり、「ゆっくりする。くつろぐ」という意味の英語「チル」という言葉にも由来しています。いずれにしても、子育て世代の皆さんがよりどころにしてくれる親しみやすい施設になることを目指しています。

 そして、9月には新しい加治木支所が完成します。現在、支所のグラウドだったところで建設が進んでいます。これは、国土交通省の「都市構造再編集中支援事業」を活用し、子ども館「ちるどん」も含む加治木地区の再開発の一環として整備を進めているものです。道路や歩道、標識なども順次整備していきますので、加治木の中心街の雰囲気が大きく変わると思います。

 以上のように代表的なものを取り上げただけでも、これまで種をまき芽吹いていた事業が成長し、今年の春から秋にかけて姿を整え結実していきます。これから先の姶良市の発展に大きく寄与することになると考えております。

 私は、令和4年度に「成熟に向けた成長を目指す」という目標を掲げ、市政を推進してまいりました。今年は、大きな事業が結実に向かっている中、これからは、市民の皆さまの基盤である生活環境を整備する施策を中心に展開したいと考えております。

 姶良市は、県内で唯一人口が増加している市であり、「街の住みここちランキング」では4年連続1位を獲得し、「幸福度ランキング」「住み続けたい街ランキング」でも鹿児島県内で1位に輝きました。とても喜ばしいことであります。しかしながら、今の姶良市は、これらの評価に見合ったまちづくりになっているかというと、まだまだ足りない未熟なところがたくさんあると私は感じています。今年も引き続きその一つ一つを成長させるような施策を打ち出し、名実ともに成熟した住みよいまちに向かいたいと考えています。

 まずは、市道の補修整備です。人口の増加に伴い交通量も多くなりました。企業誘致が進めば進むほど大型車の往来も多くなってきております。市道の傷みも激しく、今までのような対応では補修整備が追いつかないのは明らかです。市民生活の要である道路を安心して利用してもらうために、年次的に優先順位を付し、スピードアップして集中的に対処していく方針です。

 2つ目は子どもたちの通行の安全確保です。最近の田や畑の急激な宅地造成に伴い、周辺の道路に街灯が不足していることで、時に真っ暗な道を歩かざるを得ない子どもたちの姿が見られます。これまで展開してきた「自治会防犯灯のLED化推進事業」がほぼ達成される中、新たに安全のための防犯灯設置事業を実施し、都市部・山間部の別なく夜間における防犯灯の明るさにより、犯罪防止及び暗い道への不安感をなくすことで、子どもたちの安全、また市民の皆さまの安心を守っていきたいと考えています。

 必要性の度合いを調査し優先順位を付し、「姶良市全体を明るく安全な街に」を念頭に、年次的に実施したいと考えております。このほかにも「成熟したまちへの成長を目指す」ために、市民の生活基盤を強固なものにし、安心して住めるまちに成長することが重要だと考えております。

 昨年の5月以降アフターコロナの社会になりました。今年もインバウンドに向けた観光対策やスポーツイベントを活用した交流人口の増加に伴う活性化などに大きく力を注いでいきたいと考えております。また「能登半島地震」を例に挙げるまでもなく、災害はいつ襲ってくるかわかりません。災害に強いまちづくりはもちろんのこと、市民の皆さまが自然災害や防災について意識を高めていただき、自分の命は自分で守るという知識を身につけていただくよう、企業や自治体と締結した防災協定や国の指針と動き、さらに平時からの備えの重要性など様々な防災対策情報を随時発信するなど努力してまいります。

 以上の方針に加えまして今年も、スポーツによる活性化を推進したいと思います。

 昨年策定した第2期姶良市スポーツ推進計画を中心に、新しい計画を進めながらスポーツの力を存分に活用して姶良市の更なる活性化につなげていきたいと考えています。今年も、間もなく「第2回・薩摩おいどんカップ野球大会」が始まります。第1回に引き続き、プロ野球・社会人野球・大学野球がその垣根を超えて対戦する「異次元の野球大会」が全国最大規模で開催されます。今年は更に参加チームが増えまして、試合数も昨年より多くなるということです。昨年に引き続き、ビーラインスポーツパーク姶良球場では開幕戦が行われます。大学日本一の「慶應義塾大学」対 都市対抗野球の強豪チーム「JR東日本」が激突します。昨年は大会期間中、姶良球場が一番の盛り上がりをみせ、おもてなしも最高だったという評価をいただいております。今年も市民総出で盛り上げていきたいと思っておりますので、野球ファンのみならず多くの方々に足を運んでいただきたいと思っています。

 さらに今年は、姶良新庁舎・加治木新支所オープン記念事業として「eスポーツイベント」を実施する予定です。このイベントを機に姶良市を「eスポーツのまち」として売り出し、若い人たちが集まるツールとして展開したいと考えています。また、「eスポーツ」は高齢者が健康を維持するための効果的活用も実証されていることから、姶良市内の高齢者施設等と連携して、若い人からお年寄りまで世代を超えた「eスポーツ」のうねりを創出できればと思っております。

 私は、今年も「成熟したまちへの成長を目指す」ことを目標に掲げ「すべてを姶良市のために。姶良市民のために」をモットーに市政運営に邁進してまいります。

 「姶良市に住んで良かった。姶良市に生まれて良かった。姶良市に帰ってきて良かった。」

 これから先、いつの時代でもそう思ってもらえるよう、市民の皆さま。市議会議員の皆さま。一致協力して未来の姶良市民のために姶良市を成長させてまいりましょう。

2 主要施策の概要

次に、令和6年度に展開する主要施策の概要について、第2次総合計画に掲げる6つの政策に基づき申し上げます。

協働・自治

第1に、市民と共にまちを創る「協働・自治」についてであります。

市民参加型のまちづくりの推進については、これまでの各種媒体に加え、4月から運用を開始する「市公式LINE」も活用し、各世代の市民が求める情報を速やかに、手軽に、分かりやすい形で発信することで、市民参加や協働の促進と市全体の活性化を目指してまいります。

令和4年度から実施している「あいら若者まちづくり会議」については、現在、加治木・加治木工業・蒲生・龍桜の4つの高校と、本市が連携協定を結んでいる鹿児島高専に在学している生徒や学生の皆さんに参加していただき、意見交換を行っています。

令和6年度からは、昨年12月に締結した「高大官連携に関する協定」に基づき、並木学院高等学校 姶良学習支援センターの生徒の皆さんも加えた、6校でのまちづくり会議の実施に向けて準備を進めています。まちづくり会議のほか、各部署においても各種の会議やワークショップなど、様々な場面で市民の意見をお聴きする場を設け、市の計画や政策に反映できるよう努めてまいります。

国においては、令和4年12月にデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定し、デジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化させ、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指すとしています。

本市におきましても、デジタルの力を活用し、市民が将来にわたって安心して住み続けられるよう、持続可能な成熟したまちへの成長を実現するため、国の動きに呼応した第3期姶良市総合戦略を令和6年度に策定します。

第3期総合戦略の策定に当たっては、国のデジタル田園都市国家構想交付金の「地方創生推進タイプ」や「地方創生拠点整備タイプ」の採択に向けて、既存の事業や新規事業について全庁横断的に取り組んでまいります。

また、行政事務のデジタル化による市民の利便性の向上や業務の効率化については、これまでもデジタル田園都市国家構想交付金の「デジタル実装タイプ」を活用した事業を実施しており、令和6年度においてはマイナンバーカードを活用したコンビニエンスストアでの自動交付サービスに、課税証明書等発行機能の追加や申請書を作成する際に手書きの負担を減らす、いわゆる「書かない窓口」システムの導入などを実施することとしています。

令和6年度からスタートする「第3次姶良市男女共同参画基本計画」では、「一人一人の人権が尊重され誰もが安心して暮らすことができる姶良市」、「一人一人の人権が尊重され「個人の能力」が発揮されることによる多様性に富んだ活力ある姶良市」を基本目標に掲げ、国・県・近隣自治体・関係機関と連携・協力して、あらゆる分野における関連施策を実施してまいります。

各自治会や各校区コミュニティ協議会においては、これまでも、子どもから高齢者までの住民が将来にわたり住み慣れた地域で安心して暮らせるように、それぞれにおいて創意工夫を凝らしながら各種事業を幅広く展開されています。

今後とも、自治会や校区コミュニティ協議会の活動に対する支援を行いながら、地域課題の解決に向けて、地域と行政が協力しあい一体感のあるまちづくりを進めてまいります。

自主財源確保や地場産業の活性化、シティプロモーションに寄与する個人版ふるさと納税については、令和6年度の寄附額の目標を5億4千万円に設定し、新たな返礼品提供事業者や魅力ある返礼品を増やす取組のほか、ポータルサイトの開設など、更なる「あいらファン」の開拓に努めます。

また、企業版ふるさと納税についても、個人版ふるさと納税と同様に専用のポータルサイトを活用し、自主財源の確保はもとより、本市の施策等の効果的な売り込みや情報収集により地方創生の推進を図り、本市を応援してくれる事業者を増やし、寄附額の増収につなげてまいります。

子育て

第2に、安心して子どもを生み育てる「子育て」についてであります。

本市の子育て支援に係る総合的な計画として、令和6年度に策定する「第3期姶良市子ども・子育て支援事業計画」については、子ども・子育てに関する施策を更に推進するため、国の動向や本市の実情を踏まえながら進めてまいります。

子育ての悩みや不安の軽減など、保護者の方々が安心して子育てができる環境づくりを更に推進するとともに、子育てに関する情報提供や切れ目のない支援体制の強化・充実を図ります。

子ども館「ちるどん」については、子育てに関する不安や悩みを専門のスタッフに気軽に相談できる場所、また子どもを安心して遊ばせ、子育て世帯同士が交流できる場所、そして理由にかかわらず、子どもを一時的に預けることができる場所として「子育て支援の総合的拠点」となるよう運営してまいります。

 特に、子育てに関する相談については、子ども相談支援センター「あいぴあ」や障害者基幹相談支援センター「あいか」、そして家庭・地域・学校・児童相談所・医療機関などの関係機関と連携・協働して支援を行うとともに、児童虐待の未然防止などにも努めてまいります。

市内の保育所、幼稚園、放課後児童クラブ等の子育て支援施設に対し、森林の大切さや果たしている役割について理解を深め、直接木に触れる機会を作り、木の温もりを体感してもらうために木製の玩具や本棚などを給付する事業を継続して実施します。

安心して子どもを生み育て、子どもの健やかな成長や発達を促すため、妊娠期から出産・子育てまで一貫して相談に応じ、必要な支援につなぐ伴走型相談支援と妊娠時や出産時に給付する「出産・子育て応援給付金」による経済的支援を一体的に実施することで、相談しやすい環境を引き続き整備するとともに、「こども家庭センター」の体制化を図るなど、全ての妊娠中の方や子育て家庭を切れ目なく包括的に支える環境を充実させてまいります。

子育てを支援するための環境整備の推進については、認定こども園や認可保育所、認可外保育施設や幼稚園の社会資源を最大限に有効活用し、待機児童の解消に取り組むとともに、一時預かりや病児・病後児保育など、ニーズに合った保育サービスの充実を継続して取り組んでまいります。

また、子ども・子育てにやさしい社会づくりの一環として、まずは、姶良本庁舎の開館と同時に、妊娠中の方や子ども連れの方の優先案内を行う「こどもファスト・トラック」に取り組み、今後は各施設や地域全体に波及するよう努めてまいります。

教育・文化

第3に、健やかで豊かな心が育つ「教育・文化」についてであります。

学校教育については、未来の科学界をリードする人材の育成を目的とした「あいらぶ!サイエンス講座」や科学への興味・関心の拡大を図るイベントとしての「サイエンスあいらんど」を継続して開催するなど、科学に親しむ場を設定し、青少年期にある子どもたちの科学への興味・関心を高める施策を実施します。

特別支援教育では、引き続き、特別支援教育支援員を配置し、発達障害や学習障害など特別な支援を必要とする児童・生徒一人一人に対し教育的ニーズにあった支援を行い、学級活動の円滑な運営を図ってまいります。

また、特別支援学校の本市への設置については、引き続き、県に対して早期に設置することへの要望活動に取り組んでまいります。

高等教育機関の設置については、次代を担う子どもたちの夢と希望をはぐくむ高等教育機関の誘致を目指し、高等教育を受ける機会の創出を継続して推進していきます。

また、昨年12月の岡山理科大学と並木学院高等学校との三者による「高大官連携に関する協定」に基づき、本市への高等教育に関する施設の設置や市民及び企業に対する高等教育機会の提供、市民向け講座の開講などについて協議を進めてまいります。

学校においては、教員と連携・協働する支援スタッフとして教員業務支援員を配置し、教員がより一層、児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備してまいります。

道徳教育については、引き続き児童生徒の道徳性の向上を目指した事業を展開し、学校・家庭・地域の一体的な取組を推進します。

不登校の児童生徒については、一時的に学校を離れ、体験活動や相談活動を行うための適応指導教室において、適応能力の向上や自我の確立を支援してまいります。

また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる家庭訪問や相談を行い、関係機関と連携し、学校だけでは解決が困難な事案に対し、解決のための支援を行います。

社会教育については、「あいら未来特使団事業」、「AIRAふるさと学寮」、「AIRAふるさとチャレンジャー」などにより、郷土に誇りと愛着をもち、将来を担う青少年の健全育成を目的とした様々な体験活動を継続して行います。

また、家庭教育の推進については、地域全体による子育ての機運醸成を図り、家庭教育学級への支援や家庭教育フェスティバルの開催など、「学び・つながる」場を提供してまいります。

文化・芸術活動については、文化の薫り高いまちづくりに向けて、県下で最多を有する指定文化財の保存と活用の積極的な推進や太鼓踊りをはじめとする地域の伝統芸能への支援を行います。

また、「姶良10号美術展」や「市文化芸術祭」など多種多様な芸術文化の鑑賞・発表・体験などの場の提供や「生涯学習講座」の開講など生涯学習の推進を図ります。

学校施設については、小・中学校の校舎や屋内運動場等を適切に維持管理するとともに、障がいの有無にかかわらず、児童生徒が共に学び、生活し、成長できるよう計画的にバリアフリー化を進めてまいります。

また、幼稚園や学校の樹木が健全に成長する空間を確保しつつ、樹木に関連したリスクを最小限に抑えるために、重点的かつ計画的に安全な緑地環境を整備し、学校等及び周辺住環境の安全・安心を確保してまいります。

 児童生徒の交通安全対策については、学校安全ボランティアや地域安全パトロール隊、スクールガード・リーダー等による見守り活動や危険箇所点検など、地域ぐるみで児童生徒の登下校時における安全確保の取組を推進します。

学校給食施設については、新学校給食センター基本計画に基づき整備していく中で、PFI手法による民間のノウハウを活用し、効率的かつ効果的な施設整備に向けて着実に取り組むとともに、既存給食施設についても施設の修繕、改修等を行ってまいります。

また、学校給食においては、令和6年度からの学校給食費の公会計化により、保護者の利便性の向上や業務の効率化を図るとともに、引き続き国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した食材の物価高騰対策を行い、安定的な学校給食の運営を行ってまいります。

健康・福祉

第4に、誰もが安心していきいきと生きる「健康・福祉」についてであります。

健康づくりについては、第2次姶良市健康増進計画に基づき、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目標に掲げ、市民の健康の保持・増進を図るために、子どもから高齢者までのそれぞれの世代に応じた健診・相談・訪問などの各種保健事業をより一層充実できるよう実施してまいります。

医療体制については、姶良地区医師会をはじめ関係機関の協力をいただきながら、市民が24時間安心して生活できる医療体制を目指し、日曜・休日在宅当番医制や救急歯科診療の実施、二次救急医療における病院群輪番制等に対して、引き続き補助事業などの支援を実施し、地域の救急医療体制の充実を図ります。

障がい福祉については、令和6年度からスタートする「第3次姶良市障がい者計画」の基本理念に掲げる「障がい者・障がい児とその家族が自分らしく暮らし続けられるまちづくり」に基づき、引き続き、障がい者・障がい児の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進します。

また、障害者基幹相談支援センター「あいか」については、相談支援事業所に対する指導・助言や人材育成に対する支援等による質の向上、関係機関のネットワークの活用による相談支援事業所との連携強化等をこれまで以上に図っていくことで、相談支援体制の充実・強化につなげてまいります。

高齢者福祉については、令和6年度からスタートする「姶良市第9期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画」に掲げる「高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられるまちづくり」の基本目標の下、本市の地域包括ケアシステムの進展に向けて、各施策を推進してまいります。

また、生きがい・就労の促進や健康づくりを通じて元気な高齢者を増やし、幅広い世代が地域の支え手として活躍できるように、多様な通いの場を拠点にした顔の見える地域の支え合いを推進します。

さらに、グラウンド・ゴルフなどの生涯スポーツを通じて、日頃から健康づくりに励み、生涯、健康に過ごすことができる環境の充実を図るため、ビーラインスポーツパーク姶良の多目的広場や公園等の既存施設など、計画的に整備を進めてまいります。

全国的に高齢者の割合が急速に増加し、少子高齢社会が進行しており、高齢者の中には一人暮らしをする人や夫婦だけの世帯が増えており、高齢者ケアや地域の支え手となる人材不足も深刻な課題となっています。

これらの社会的変化により、隣近所とのつきあいの希薄化や世帯の孤立が進行し、悩み事を相談できない環境に置かれることもあり、高齢者等の孤独死や高齢者、障がい者等への虐待など大きな課題につながるケースもあります。

これらの課題等の解決につなげるため、令和6年度からスタートする「第3次姶良市地域福祉計画」に基づき、各種施策に取り組んでまいります。

あわせて、地域福祉計画に盛り込んでいる成年後見制度利用促進基本計画や再犯防止推進計画についても、市社会福祉協議会や関係機関、団体等との連携を強化しながら、実効性のある施策の展開を図っていきます。

産業・交流

第5に、まちの魅力が輝き活力にあふれる「産業・交流」についてであります。

全国的に、農業従事者の減少と高齢化が一段と進み、地域農業・農村を支える担い手不足など厳しい状況にあり、農業・農村の活力低下が懸念されています。

このような課題を解決するため、本市においても、引き続き、様々な補助事業を活用しながら、地域資源や農村環境の保全を進めてまいります。

また、農業の担い手となる若手農業者・新規就農者の確保や育成に力を注ぎ、関係機関と連携を図りながら新規就農者等への支援に取り組んでまいります。

鳥獣被害防止対策については、集落ぐるみで鳥獣被害防止に取り組み、電気柵の貸与を行い、それでも被害が止まらない場合には、個体を捕獲することで鳥獣による被害を軽減させ、農家の生産意欲の向上と農業・農村の活性化を図ります。

農産物の地産地消を促進し、「煮しめグランプリ」を継続して開催し、鹿児島に伝承される食文化の発信や継承に向けた食育活動を推進してまいります。

将来的には、煮しめを含む「食」を通じた新たな事業の推進により様々なビジネス機会が創出されるよう、農林水産物の生産者と起業に意欲的な人材をつなげて支援する取組を検討し、姶良の食材の特徴を生かした商品開発、姶良ならではの「食」のおもてなしの普及により、地域資源の好循環と持続可能な社会を目指します。

 担い手農家をはじめとする農業の経営安定のため農地の集約・集積化、維持管理の軽減を図るための用水パイプライン化、区画整理や湿田対策の暗渠排水、農業水路等の防災・減災対策などの生産基盤整備、集落道整備などの環境基盤整備を進めてまいります。

林業では、木材生産のほか、温暖化防止など多様な機能を持つ森林の保全を図るため、森林環境譲与税を有効活用した森林・竹林の整備や担い手育成、高性能林業機械の導入促進などを進め、森林づくりに対する意識の醸成を図り、森林の適正管理を促進します。

水産業では、藻場・干潟の再生・保全事業と海面及び内水面漁業の育成などの水産振興に取り組む団体の支援に努めてまいります。

商工業の振興については、引き続き、市商工会や市特産品協会と連携を図りながら、既存の商工業者の経営支援や新規事業者の創業支援、新たな特産品の開発・広報PRを行い、本市の商工業と商店街の活性化につなげてまいります。

また、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した「物価高騰対策プレミアム商品券事業」については、令和6年度の早い段階から実施することとしており、市民の皆さまの家計を応援するとともに、物価高騰の影響を受けている事業者支援及び市内における経済活動の活性化を図ります。

企業誘致の推進については、県央都市の強みを生かし、引き続き、市土地開発公社と連携を図りながら、工業用地の整備・供給などにより、流通業、製造業及びICT関連産業など成長産業の誘致を更に促進し、既存産業の生産性向上と若者の地元雇用の創出に継続して取り組みます。

観光の振興については、令和6年度からスタートする「第3次姶良市観光おもてなし計画」に基づき、桜島・錦江湾ジオパークや日本遺産の蒲生麓など、本市の観光資源の魅力を積極的に活用し、民間団体や近隣自治体との広域連携を強化しながら、都市部での効果的なプロモーションにより、これまで以上に多くの誘客の促進、交流人口の増加に取り組んでまいります。

また、アフターコロナにおけるインバウンドの誘致拡大については、県などと連携してアジア地域などをターゲットにした効果的かつ持続的なPR活動等を展開します。

世界各国で盛り上がりを見せているeスポーツは、国内においても国民体育大会の文化的プログラムに採用されるなど、社会的認知度が高まってきています。

eスポーツは、電子機器を用いて行う競技・スポーツであり、近年、若い世代を中心に注目を集めるなど話題性のあるコンテンツであるとともに、高齢者の健康づくり、観光促進、地域交流、産業振興などの地域課題の解決に資する可能性があるツールでもあります。

市においては、eスポーツの年齢、性別、障がいの有無、国籍等の垣根を超えたユニバーサルスポーツとしての特性に着目し、市内外からの集客により市内での消費活動を呼び込むとともに、市商工会や市観光協会等の経済産業団体や地元の高校、本市が連携協定を締結している岡山理科大学等との協働により、本市のプロモーションなどを通じて継続的な地域経済の活性化を図るためにeスポーツを活用した事業を展開していきたいと考えています。

さらに、ビーラインスポーツパーク姶良での「春まつり」や本庁舎周辺での「夜市」、加治木港での「花火大会」、そして30回目を迎える「日本一大楠どんと秋まつり」など、民間活力によるイベントに対し継続して支援を行いながら、更なる地域活性化や交流人口の増加に取り組んでまいります。

安全・安心

第6に、快適な暮らしを守る「安全・安心」についてであります。

近年の豪雨、台風など自然災害による甚大な被害が毎年のように全国各地で発生する中、市民の安全・安心を守ることは、地方自治体の重要な使命であります。

平時から「備える」という防災・減災対策と、災害発生時に身の安全を守り、「無事である」という初動から始まる災害対応体制の構築を一層図ってまいります。

そのため、訓練など啓発活動を通じて、「自分の命は自分で守る」、「自分たちの地域は自分たちで守る」という「自助・共助」の防災意識の醸成と市民の防災行動力の向上、そして地域防災力の強化に引き続き取り組みます。

さらに、市民が安全に暮らせるまちづくりを進めるため、引き続き河川や水路の改修、急傾斜地崩壊対策等に取り組み、市民の安全・安心の確保に努めてまいります。

また、高齢化や過疎化など地域の実情で、自治会単位での自主防災組織の結成が困難な地域については、校区コミュニティ協議会単位による組織化も含め、引き続き支援を行いながら、平時における防災訓練や出前講座を実施して災害に備えます。

近年、本市を含め、全国的に火災件数は減少傾向となっており、今後もこの状況を維持するため消防本部及び消防団が連携し、火災予防の巡回広報を強化してまいります。

また、消防団員数については、地域や市内各事業所等の理解と協力もあり微増となっていますが、今後においても新規団員の確保に努めるとともに、応急手当の普及啓発などの活動を行い災害に強いまちづくりに努めます。

雨水排水対策については、計画等に基づく流出抑制設備の整備、浸水・冠水区域においては断面改修や分水路の建設など、排水機能を高めた排水施設の整備を継続して実施し、道路冠水や浸水被害などの軽減に取り組みます。

市道の舗装補修や歩道の補修工事については、優先順位をつけて計画的かつ集中的に事業を推進し、市民の皆さまが快適で安全に暮らせる環境の整備を進めてまいります。

また、橋りょう、トンネル及び市営住宅についても、長寿命化計画に基づき、年次的な改修等を実施してまいります。

帖佐駅前広場の整備については、国の都市構造再編集中支援事業を活用して、帖佐駅周辺のエリアデザインについて、専門家のほか地域住民や駅利用者等から意見をお聴きする場やワークショップなどの開催により、今後のまちづくりに生かしてまいります。

さらに、市の玄関口としてふさわしく、魅力のある都市空間を形成し、交流人口の創出など「にぎわいがあふれるまち」となるよう横断的に各種事業を進めてまいります。

コロナ禍により減少していた公共交通全体の利用は、回復傾向にあるものの、依然厳しい状況が続いているため、公共交通対策は引き続き積極的に取り組む必要があります。

高齢者等の移動手段として導入しているコミュニティバスや予約型乗合タクシーについては、「コミュニティバス利用無料月間」を実施するほか広報に努め、利用者の増加を図るとともに、公共インフラとして持続可能なサービス維持に努めてまいります。

自治会防犯灯のLED化については、自治会の設置負担の軽減と維持経費の削減を図るため、令和元年度から集中的に取り組んできました。その結果、現状においてLED化率がおよそ94%となっており、一定の効果が表れているものと考えています。

令和6年度以降については、新たに安全な地域づくりのための環境整備として、夜間における犯罪、事故等の発生を防止するため、市民生活の安全・安心、特に子どもたちの安全の向上を目指し、防犯灯設置事業を年次的かつ計画的に実施します。

令和6年度からスタートする「第2次姶良市環境基本計画」では、引き続き「地域の恵みを受けた暮らしと持続可能な社会を実現し、住みよい県央都市 あいら」を目指す環境像として掲げ、自然と共生する快適な生活環境を実現するために、「ゼロカーボンシティ」を宣言した自治体として、SDGsの視点も盛り込みながら各種施策に取り組んでまいります。

また、温室効果ガス削減目標や目標達成に向けた具体的な削減方策及び取組等については、令和6年度に策定する「姶良市地球温暖化対策実行計画」において示すこととしています。

空き家については、年々増加する傾向にあり、建物の破損、景観への支障、防犯や衛生面等の様々な課題への対策が必要となっています。

空家等対策計画に基づき、空き家の適正管理を図るとともに、空き家の利活用や除去、修繕などを促進し、予防から跡地利用までを視野に入れた対策の展開により、安全・安心な生活環境の保全を図ってまいります。

また、移住定住対策については、関係機関と連携し、移住者や移住者を受け入れる地域の相談やサポート体制を継続して実施します。

上水道事業については、水道ビジョンに掲げる基本理念に基づき、将来にわたって安全・安心な水を、安定的に供給できるよう、引き続き重富水道施設の整備を進めるとともに、老朽管の布設替えにより管路網の整備を行い、耐震化を推進します。

下水道事業については、生活環境の改善と公共用水域の水質保全を図り、安全で安心、衛生的な市民生活を確保するために、下水処理施設の適正な維持管理を行ってまいります。

3.今後の行財政運営について

次に、今後の行財政運営についてであります。

 我が国経済は、コロナ禍から改善しつつある一方で、賃金上昇が物価上昇に追い付いておらず、個人消費は依然として力強さを欠くなど、まだ課題も多い現状にあります。

 国は、令和6年度の予算編成に当たって、令和5年度の補正予算と一体的に足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げやデフレからの完全脱却と持続的な成長の実現に向け、人への投資、GXやDX等の分野での投資促進、少子化対策・こども政策の抜本強化、防災・減災、国土強靭化など国民の安全・安心の確保など重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講じ、メリハリの効いた予算編成とするとしています。

 また、地方財政については、社会保障関係経費や人件費の増加が見込まれる中、地方公共団体がこども・子育て政策の強化など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう一般財源の総額について、令和5年度を上回る額を確保したとしております。

 次に、鹿児島県は、令和6年度の予算編成に当たって、持続可能な行財政構造を構築するため、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に引き続き取り組む必要があるとし、「かごしま未来創造ビジョン」に沿って、新たな取組を重点的に推進するため、メリハリをつけた予算配分や事業の見直し・組替え等を行うとしています。

 姶良市におきましては、物価高騰等の影響などにより市内経済は十分に回復しきれていないと考えられ、歳入の根幹である市税については予測しにくい状況にあります。

 一方、歳出については、高齢化の進行などによる社会保障関係経費の更なる増加や、公共施設の老朽化対応などの費用負担に加え、原油価格・物価高騰による燃料費、光熱水費、委託料などの増加など多額の財政負担が見込まれております。

 このような中におきましても、多様化する市民のニーズに応えていくために、健全な財政運営に努めてまいります。

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令和6年度施政方針(PDF:19,518KB)

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企画部企画政策課企画政策係

899-5294 姶良市加治木町本町253番地

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ファックス番号:0995-62-3699

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