更新日:2023年11月24日
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令和5年度の姶良市施政方針(原文のまま)
1 はじめに
令和5年第1回市議会定例会の開会に当たりまして、市政に臨む所信を申し上げます。
また、令和5年度における主要施策の概要と市政運営に対しましての、私の所信の一端をご説明申し上げます。
昨年の第2回定例会での所信表明で「成熟したまちへの成長」を目指すために3つの柱を掲げました。今年も引き続きそれらの柱を中心に市政を遂行していきたいと思います。
まず1つ目は、新型コロナウイルスの感染症対策への対応です。発生してから3年が経ち、社会を取り巻く環境もずいぶんと
変化をしてきました。政府は、原則として今年5月から感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行する方向で検討を進めていると発表しています。昨年後半からは、姶良市内でも様々な地域活動が復活し、社会活動や経済活動を以前の姿に戻していこうという力が働いていることを実感します。それぞれの地域がこれまで失いつつあった絆を取り戻したいという強い思いがあると感じています。市といたしましても、これらの地域の思いに対して積極的に支援してまいりたいと考えております。
今後はウィズコロナという認識を共有しながら、インバウンドに向けた観光対策やスポーツイベントを活用した交流人口の増加に伴う活性化などに大きく力を注いでいきたいと考えております。しかしながら、まだまだ完全に収束しているとはいえず、今後どのような展開になるか予想がつかないこともあり、感染症対策に対して、引き続き国や県と連携を図りながら、更にしっかりと対策を実施してまいります。
2つ目は、子育てしやすいまちへの成長です。昨年、議会の皆さまには全天候型子ども館の建築予算を承認していただきました。子育て世代が待ちに待った支援拠点がいよいよ立ち上がります。それを受けまして、今年は、ソフト部分の充実を図るための協議を進め、子育て世代の皆さまの期待に添えるような人材の確保と事業内容の充実に向けて検討を進めてまいります。安心して子育てができる環境を整え、子育て世代を更に支援していきたいという気持ちを具現化することで、子どもに対する「暴力や放置」などの児童虐待をなくし、子どもたちが姶良市で
すくすくと健康に育っていける、成熟したまちへ成長したいと思っています。
今年の4月1日から「こども家庭庁」がスタートします。
大人が中心になっていたこの国や社会の形を「こどもまんなか」という姿勢へ変えていく司令塔として作ったと国は説明しています。その基本方針の中に「こどもや子育てをしている人の目線に立った政策を作ること」という方針があります。そこでは「子育てをしている人が負担や不安を感じることが減り、ゆとりを持ってこどもと向き合うことができると、こどものより良い成長につながります」と述べています。
まさしく今から姶良市が建設する「子ども館」の趣旨にぴったりの方針です。私たちは、こども家庭庁が行う事業や政策の情報を敏感にキャッチし、姶良市の子ども達のために、そして子育て世代の皆さまのために、国や県としっかりと連携していきたいと考えています。
3つ目は、災害に強いまちへの成長です。昨年姶良市では、台風の直撃や大雨などで、市民の皆さまが避難所へ避難する機会も多くありました。幸いなことに命に関わる災害は起きませんでしたが、いつ姶良市が大きな被害に遭ってもおかしくない。今年もそういう自然状況であることは変わりません。
今年は、姶良市において鹿児島県による総合防災訓練が行われます。この防災訓練は、鹿児島県が中心となって消防、警察はもちろんのこと自衛隊や海上保安庁なども参加して行う、大規模な防災訓練です。この訓練で、更に市民の皆さまが自然災害や防災について意識を高めていただき、自分の命は自分で守るための知識を身につけていただきたいと思っています。防災等の包括
連携協定を締結している民間企業や各種団体が、災害に対する能力や実績を実感できる場でもあり、災害から市民の生命や財産を
守るために多くの手段や方法があることを市民の皆さまに理解していただく絶好の機会になると思っています。また、引き続き、
令和3年度から実施しております姶良市内の内水対策や急傾斜地の整備などを推進し、まちの成熟化を促進してまいります。
以上の3つの柱に加えまして今年は、スポーツが持つ力を活用した更なる活性化を推進したいと考えます。
秋には、およそ50年ぶりに鹿児島県で「燃ゆる感動 かごしま国体・かごしま大会」が開催されます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、3年間待ち続けたスポーツの祭典がいよいよ行われます。姶良市では、バスケットボール、ゴルフ、ライフル射撃の3種目と知的障害者によるバスケットボールが開催され、多くのアスリートが姶良市を訪れます。
スポーツが持つ力は、昨年のサッカーのワールドカップや加治木工業高等学校ラグビー部の花園出場などでも分かるように多くの人に感動と勇気を与え、まちを元気にしてくれます。また今年は、
第2期姶良市スポーツ推進計画をスタートする年でもあり、新しい計画を進めながらスポーツの力を存分に活用して姶良市の更なる活性化につなげていきたいと思っています。
その中でも注目のイベントは、今月23日から始まる「薩摩
おいどんカップ野球大会」です。プロ・社会人・大学、それぞれの野球チームが、その垣根を越えて全国最大級の規模で対戦する「異次元の野球大会」であります。姶良市ビーラインスポーツパーク野球場では開幕戦が行われ、同時に開催されるセレモニー
などにも選手や関係者、野球ファンをはじめ、多くの人が姶良市を訪れることになりますので、温かくお迎えしたいと思っています。
この大会は、これから毎年開催される予定ですが、姶良市としては、このビッグイベントを当日の盛り上がりだけで終わらせてはいけないと思っています。この大会を有効に活用し、大会後、
姶良市を再び訪れてくれるリピーター、観光客、交流人口、関係
人口などの増加につなげていくことが重要だと考えています。「燃ゆる感動 かごしま国体・かごしま大会」についても同様の考えでありますが、そのためになすべきことは何かを常に考えながらスポーツが持つ大きな力を活用してまいりたいと思います。
以上のように、引き続き3つの大きな柱を中心に今年はスポーツの力を活用しながら、市民のニーズに応えられる多くの施策を展開し、事業を推進してまいります。
今年、令和5年、2023年は、蒲生城が築城され蒲生八幡神社が創建
されてから900年という記念すべき年です。長い長い年月の中で育まれてきた伝統や文化、習慣に私たちは守られています。一朝一夕ではなしえない尊いものをこれから先に引き継ぐことも今を生きる私たちの役割です。これから先、姶良市として多くの
年月をしっかりと重ねるためにも、成熟したまちを目指さなければならないと思います。コロナ禍を経験し、ウィズコロナを迎えようとしている今年。しっかりと地に足をつけた政策で
「すべてを姶良市のために。姶良市民のために」のモットーを崩すことなく市政を進めてまいります。昨年「時代の大チャンス」であると申し上げました。その気持ちは変わっておりません。
市民の皆さま。市議会議員の皆さま。姶良市を明るい未来に進めるために、そして古来の良きものを引き継ぐために一致協力
して歩んでいきましょう。「過去」も「未来」も現在の私たちの一つ一つの行動を見つめています。
2 主要施策の概要
次に、令和5年度に展開する主要施策の概要について申し上げます。
令和5年度は、第2次姶良市総合計画後期基本計画の初年度であり、姶良市の確かな未来を次の世代に確実につなげていくための大事なスタートの年でもあります。
計画期間は、令和8年度までの4年間で、これまでの社会情勢・経済情勢の変化やSDGsの視点などを踏まえ、計画の策定を行ったところであります。
基本理念である「可能性全開!夢と希望をはぐくむ まちづくり ~ ひとりひとりが主役 住みよい県央都市 あいら ~」の実現に向けて、スピード感を持って事業実施につなげていきたいと考えております。
それでは、それぞれの政策ごとに申し上げます。
協働・自治
第1に、市民と共にまちを創る「協働・自治」についてであります。
市民参加型のまちづくりを推進するため、市民と行政が信頼と理解のもと一体となり、お互いの能力や特性を生かしながら、地域の特性、実情に合った、より良いまちづくりの実現という目的を共有し、連携・協力して取り組んでまいります。
市の政策形成過程に市民の声を反映させるため、引き続き、市内の4つの高校や連携協定を結んでいる鹿児島工業高等専門学校に在学している生徒や学生の皆さんとの「あいら若者まちづくり会議」での直接対話や、各種の会議、ワークショップなど、様々な手法を用いて検討過程のあらゆる機会で市民の意見をお聴きする場を設け、市政参画を促進してまいります。
また、市政に関する情報や市民が必要とする情報を分かりやすく
提供するため、ホームページにおいて、子育てや防災に特化した特設ページを作成するなど、情報発信を拡充してまいります。
活力・魅力ある地域づくりを推進するため、心豊かに安心して暮らすことのできる地域社会、共に助け合う社会の確立を目指し、引き続き、地域コミュニティの基盤となる自治会への加入を推進するとともに、各校区コミュニティ協議会との連携を強化し、住民の自治意識の向上と地域の連帯感を強め、温もりに満ちたコミュニティ活動の活性化を支援します。
一人一人の人権の尊重に向けた男女共同参画の推進については、男女が相互の協力と社会支援のもとに、家庭生活と社会生活を両立できる社会を目指し、男女平等に基づく教育の推進や男女共同参画意識の啓発、そして包括連携協定を締結した企業との協働により、あらゆる分野における関連施策を実施してまいります。
また、現在、改訂作業を進めている「姶良市人権教育・啓発基本計画」に基づき、人権に対する意識の向上を促すため、学校や家庭、地域社会、事業所などあらゆる機会を捉え、関係機関等と連携しながら、人権教育・啓発を推進し、一人一人の生き方や多様性を尊重し、人権文化が息づく「共生社会」の実現に向け取り組みます。
信頼される市政運営の推進については、厳しい財政状況においても複雑化・多様化する市民ニーズに的確に対応するため、様々な方法により財源を確保するとともに、行政のデジタルトランスフォーメーションによる行政手続や行政サービスに係る市民や企業の利便性向上と情報セキュリティを両立させつつ、誰もがその恩恵を実感できる、柔軟で人にやさしい行政デジタル化に引き続き取り組んでまいります。
また、マイナンバーカードについては、これまでも普及促進に取り組んできておりますが、更なる普及促進を図るため、新たに市内9つの郵便局においても申請業務をサポートしてもらえるよう、双方で協議を重ねているところであります。
個人版ふるさと納税については、令和5年度の寄附額の目標を5億円に設定し、新たな寄附者を増やし、寄附額の増収を図るために、新たな返礼品提供事業者の開拓と魅力ある返礼品を増やす取組を行ってまいります。
寄附を募るポータルサイトのイベント期間中は、特に効果的な
広告掲載を行うとともに、県外で開催されるふるさと会への
働きかけなどの宣伝に取り組みながら、本市の返礼品をより多くの方にPRしてまいります。
また、企業版ふるさと納税についても、個人版ふるさと納税と同様に、寄附額の増収を図るため、専用のポータルサイトを活用し、自主財源の確保はもとより、本市を応援してくださる方々、関わりを持ってくださる方々など、関係人口の増加を
目指し、更なる魅力の向上に向けた取組を進めてまいります。
子育て
第2に、安心して子どもを生み育てる「子育て」についてであります。
安心して子どもを生み育て、子どもの健やかな成長や発達を促すため、今般の感染症対策を踏まえた新しい生活様式に対応し、オンライン化を推進するなど、各種健診や教室、相談体制の更なる充実を図り、妊娠・出産、子育ての各ステージに応じた的確な支援に取り組みます。
子育てを支援するための環境整備の推進については、就労しながら子育てを希望している家庭を支えるため、認定こども園や
認可保育所、認可外保育施設や幼稚園の社会資源を最大限に
有効活用し、待機児童の解消に取り組むとともに、誰でも利用できる一時預かりや、ニーズに合った保育サービスの充実を
継続して取り組んでまいります。
森林の大切さや役割について理解を深めるため、森林環境譲与税を財源として、姶良市産の木材を加工して製作した木製の玩具や書棚等を市内の保育所、幼稚園、放課後児童クラブ等の子育て支援施設へ、申請に基づき給付するとともに、専門のインストラクターによる子どもたちへの木育活動を実施し、子どもの時から木材に直接触れることで、金属やプラスチック製品にはない温もりを体感する機会の創出に取り組みます。
あわせて、保育士等の処遇改善に係る補助やホームページ上で保育分野の求人情報などを提供する「ほいく情報便」により、保育士の確保と定着化に向けた対策を講じながら、保育が必要な全ての児童に対して、保育が提供できる環境の確保に引き続き取り組んでまいります。
整備を進めている全天候型子ども館については、地域子育て支援センターの拠点と位置付け、「親子が気軽に集える場所」、「親子同士や地域とのつながりを感じることができる場所」、「遊びや学びを通じていろいろな変化に気づき、そのまま気軽に相談できる場所」、「理由にかかわらず、子どもたちを一時的に預けることができる場所」など、天候に左右されない子どもの
遊び場や親子が相互に交流でき、専門の職員による各種相談や
必要な情報の提供を行うことにより、妊娠・出産、子育て期において切れ目のない支援体制を整えます。
ワンストップ相談窓口である子ども相談支援センター「あいぴあ」を中心として、基幹相談支援センター「あいか」や家庭・地域・学校・児童相談所・医療機関など、子育て家庭と関係するあらゆる機関と連携・協働し、児童虐待の未然防止を図るとともに、「こども家庭センター」化を進め、子育て家庭を切れ目なく
包括的に支える環境を更に充実していきます。
教育・文化
第3に、健やかで豊かな心が育つ「教育・文化」についてであります。
学校教育の充実について、理数教育では、「サイエンスリーダー
養成講座」や「サイエンスあいらんど」等を開催し、科学に親しむ場を設定し、青少年期にある子どもたちの科学への興味・関心を高める施策を実施してまいります。
外国語教育では、小学校外国語活動や外国語科及び中学校英語科のモデルとなる英語教育推進校を指定し、小・中学校の外国語教育の在り方等について研修の機会を提供し、その成果を市内全ての小・中学校に広げてまいります。
特別支援教育では、引き続き特別支援教育支援員を配置し、特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、実態把握や支援を組織的に行い、一人一人の教育的ニーズに応じた取組を推進してまいります。
高等教育機関の設置については、次代を担う子どもたちの夢と希望をはぐくむ高等教育機関の誘致を目指し、高等教育を受ける機会の創出を推進します。
全国的に、学校や教職員が直面する課題が多様化・複雑化し、学校における働き方改革の推進が喫緊の課題となっています。
本市においても、こうした課題に対応する学校の指導・運営体制の強化・充実を図るため、学校において教員と連携協働する支援スタッフとして、教員業務支援員を配置します。
さらに、令和6年度からの学校給食費等の公会計化に向けて、関係する条例制定案及び予算案を本定例会に提出することとしており、教職員の業務軽減による働き方改革の推進、保護者の
利便性の向上などが効果として見込まれます。
道徳教育については、「モラリティ・インプルーブメント推進事業」の更なる拡充を目指し、学校・家庭・地域社会の一体的な取組を引き続き推進してまいります。
生徒指導の充実については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、児童生徒の悩みへの相談対応、いじめ・不登校や問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応を引き続き図ってまいります。
社会教育の充実については、体験活動や文化活動の充実を目指すため、「あいら未来特使団事業」、「AIRAふるさと学寮」、「AIRAふるさとチャレンジャー」などにより、郷土に誇りと
愛着をもち、将来を担う青少年の健全育成を目的とした様々な体験活動を行ってまいります。
また、市立少年少女合唱団の運営支援をはじめ、子ども会、ジュニア・リーダークラブ等、社会教育関係団体への活動補助を行うことにより、地域社会における教育力の向上と地域ぐるみの活動の充実を図ります。
スポーツの充実については、令和5年度からスタートする
第2期姶良市スポーツ推進計画の基本理念である「健康な心と体を育むスポーツの推進」のもと、生涯スポーツや競技スポーツの推進、スポーツ環境の充実、スポーツによる地域の活性化を基本目標として、各種施策に取り組んでまいります。
また、県内唯一のビーラインフットボールセンター姶良や
多目的広場など、既存のスポーツ施設の有効活用を図るため、野球の交流戦「薩摩おいどんカップ」や合宿キャンプの継続支援と各種大会の誘致に努めてまいります。
本年10月に開催される「燃ゆる感動 かごしま国体・かごしま大会」では、姶良市を訪れる全ての方々を市民総参加のもと、心のこもったおもてなしでお迎えし、本市の多彩な魅力を全国に発信する大会となるよう、その準備を円滑かつ総合的に進めてまいります。
文化・芸術活動については、文化の薫り高いまちづくりに向けて、県下で最多を有する文化財の保存と活用の積極的な推進や、
多種多様な芸術文化の鑑賞・発表・体験などの機会の拡充、
太鼓踊りをはじめとする地域の伝統芸能や生涯学習活動などの取組への支援を行ってまいります。
県の指定史跡である建昌城跡については、保護と活用を両立させることを目的とした環境整備を図るため、史跡内を含め、市内の公共用地等から発生する刈草や剪定枝などをチップ化し、防草、敷設資材として活用する「緑のリサイクル化」に取り組みます。
学校施設整備の推進については、それぞれの地域の年少人口の将来動向を見極めながら、増加傾向にある特別な支援を必要とする児童生徒のための教室整備や学校施設バリアフリー化をはじめとした、学校を取り巻く様々な社会情勢や各種法令等を踏まえた教育環境の充実に努めてまいります。
また、学校敷地内にある巨木化・老木化した樹木の健全度診断を
行い、安全な緑地のある学びの環境整備を進めてまいります。
さらに、学校給食施設については、学校給食衛生管理基準に基づく新たな学校給食センターの整備に向けて、着実に取り組んでまいります。
安全・安心な学校づくりについては、引き続き学校安全ボランティアや青色パトロール隊、スクールガード・リーダー等による見守り活動や危険箇所の点検など、地域ぐるみで児童生徒の登下校時等における安全確保の取組を推進してまいります。
特に、子どもたちの通学路については、姶良市通学路安全
プログラムに基づき、学校、警察、道路管理者等と通学路合同点検を実施しながら、必要な対策を講じてまいります。
健康・福祉
第4に、誰もが安心していきいきと生きる「健康・福祉」についてであります。
健康づくりについては、第2次姶良市健康増進計画に基づき、ライフステージに応じた健康増進、食育や運動・歯科口腔保健の推進を通じて、市民の健康寿命の延伸と生活の質の向上を図ります。
また、疾病の早期発見のための各種検診と生活習慣病の予防のための健康相談、健康教室を実施するとともに、健診データ等に基づいた面談や電話等による保健指導を一層充実させる
ことにより、生活習慣病の重症化予防を図ってまいります。
医療体制については、姶良地区医師会をはじめ関係機関の協力をいただきながら、市民が24時間安心して生活できる救急医療体制を目指し、休日在宅当番医制や救急歯科診療の実施、
二次救急医療における病院群輪番制等に対して、引き続き補助事業などの支援を実施し、地域の救急医療体制の充実を図ってまいります。
障がい福祉については、第2次姶良市障がい者計画等に基づき、
引き続き、障がいのある方が地域で安心して暮らしていくための支援の充実を図ります。
なお、令和5年度においては、第3次障がい者計画等を策定することとしており、関係団体や学識経験者及び市民等の意見を聴きながら取り組んでまいります。
また、地域で生活する障がい者の重度化・高齢化や「親亡き後」を
見据えた、居住支援のための相談や緊急時の受入れなどの機能を備えた地域生活支援拠点の整備に取り組みます。
基幹相談支援センター「あいか」では、引き続き利用促進と利便性の強化に努めるとともに、相談支援事業者に対する指導・助言や人材育成に対する支援等による質の向上、関係機関のネットワークの形成とその活用等による相談支援事業所との連携を強化してまいります。
高齢者福祉については、姶良市第8期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画に基づき、高齢化の更なる進展と要介護等の高齢者数の伸びを踏まえ、介護保険サービスの量的な整備と質の
向上を図るとともに、住まい・医療・介護・認知症ケア・介護予防・生活支援の一体的な提供を図る地域包括ケアシステムの更なる推進と地域共生社会の実現に向けて取り組みます。
多様な介護人材の確保・定着、介護サービスの質の確保・向上を図るため、高齢者の生活支援につながる介護人材確保ポイント事業の拡充や、指定居宅介護支援事業所・介護サービス事業所等に従事する職員を対象とした研修会の実施、また当該事業所等への相談支援などに取り組んでまいります。
姶良市地域福祉計画については、令和5年度において第3次地域
福祉計画を策定することとしており、今回は、再犯の防止等の推進に
関する法律第8条第1項の規定に基づく「再犯防止推進計画」を
新たに盛り込むこととしております。
市におきましても、県再犯防止推進計画との整合を図りながら、
関係機関等と連携して取り組んでまいります。
成年後見制度の利用促進については、成年後見制度利用促進基本計画に基づき、認知症や知的障がい等により、判断能力が低下した方の権利を擁護するため、引き続き、市社会福祉協議会を中核的な役割を担う機関として位置付け、理解と周知を図ってまいります。
身寄りがない方への支援の在り方については、本市のガイドラインに基づき、市と医療機関や福祉施設など関係機関との情報共有や連携を進め、円滑な支援が実施できるよう対応してまいります。
生活困窮者等の支援については、市社会福祉協議会と協働して実施し、生活に困窮している方や困窮するおそれのある方の相談をワンストップで受けとめるとともに、潜在的な支援対象者の早期発見に努め、専門の支援員が相談者に寄り添いながら、専門機関等と連携して解決に向けた支援を引き続き行ってまいります。
産業・交流
第5に、まちの魅力が輝き活力にあふれる「産業・交流」についてであります。
農業の振興については、新規就農者や後継者に対し、持続的な
農業経営に向けた支援と体制づくりを強化するとともに、担い手の経営管理能力の向上、農地の集積・集約化、経営規模拡大、農業生産施設の整備等により、産業として自立できる経営体の育成を図ってまいります。
鳥獣被害対策については、集落ぐるみの取組を推進し、鳥獣の
生態や被害防止の正しい理解、また防護柵や電気柵等による被害防止対策と効果的な捕獲を推進し、地域と一体となった総合的な被害防止に取り組んでまいります。
中山間地域の農地を維持・存続するため、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金制度の活用、集落営農組織の育成や
集落を超えた営農形態による農地の保全に努めます。
農産物の地産地消を促進し、「煮しめグランプリ」を継続して開催し、鹿児島に伝承される食文化の発信や継承に向けた食育活動を推進します。
担い手農家をはじめとする農業の経営安定のため農地の集約・
集積化、維持管理の軽減を図るための用水パイプライン化、区画
整理や湿田対策の暗渠排水などの生産基盤整備、集落道整備などの
環境基盤整備を進めてまいります。
林業では、木材生産のほか、温暖化防止など多様な機能を持つ
森林の保全を図るため、森林環境譲与税基金を有効活用した森林・
竹林の整備や担い手育成、高性能林業機械の導入促進などを
進め、森林づくりに対する意識の醸成を図り、森林の適正管理を
促進します。
水産業では、魚介類の稚魚放流による水産資源の確保や、藻場・干潟の再生等に取り組む団体の支援に努めてまいります。
商工業の振興については、引き続き、市商工会や市特産品協会と連携を図りながら、新規店舗の誘致や既存店舗の充実、新たな特産品の開発など、本市の商工業者と協力し、商店街の活性化につなげてまいります。
また、現在の国際情勢や社会経済情勢の影響による原油価格及び
物価の高騰など、地元経済への影響も考慮しながら、引き続き、行政として可能な限りの支援に努めてまいります。
農商工連携の推進については、所得向上につながる六次産業促進事業の実施により、あいらブランドの普及促進の支援を
強化するとともに、関係団体との連携を更に進め、PR活動を積極的に行い、販路拡大の支援を行います。
企業誘致の推進については、県央都市の強みを生かし、市土地開発公社と連携を図りながら、工業用地の整備・供給などにより、流通業、製造業及びICT関連産業など成長産業の誘致を更に促進し、既存産業の生産性向上と若者の地元雇用の創出に継続して取り組みます。
観光の振興については、桜島・錦江湾ジオパークや日本遺産の蒲生麓など、本市の観光資源の魅力を積極的に活用し、民間や近隣自治体との広域連携を強化しながら、都市部での効果的なプロモーションにより、これまで以上に多くの誘客の促進、交流人口の増加に取り組んでまいります。
また、ウィズコロナにおけるインバウンドの誘致拡大については、県などと連携してアジア地域などをターゲットにした
効果的かつ持続的なPRを展開します。
さらに、あいら春まつりや加治木港での花火大会、日本一大楠どんと秋まつりなど民間活力を導入したイベントを継続するとともに、蒲生物産館「くすくす館」や「龍門滝温泉」、「くすの湯」など、
地域の特性を生かした交流拠点施設については施設整備を含め、利用者の増加に向けた取組を進めてまいります。
サイクルツーリズムについては、引き続き、鹿児島県サイクルツーリズム推進協議会の構成自治体や国・観光団体などと
連携を図りながら、自転車による周遊観光の推進、交流人口の増加につながる取組を進めてまいります。
安全・安心
第6に、快適な暮らしを守る「安全・安心」についてであります。
近年、豪雨や台風による甚大な被害が毎年のように全国各地で
発生する中、これら自然環境の異変に対し、防災力を強化することは、行政の重要な使命であります。
第2次姶良市総合計画 後期基本計画では、「災害に強い
まちづくりの推進」を重点プロジェクトとして新たに加え、
災害から市民の命や財産を守る防災体制を強化したまちへの
成長を目指します。
災害時の応急措置などを迅速・的確に実施するため、関係機関、
協定締結事業者、民間企業、ボランティア団体、消防団及び自主
防災組織をはじめとする地域住民と緊密に連携を図るとともに、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、外国人など災害時要配慮者などに対する支援活動など、平時から効果的、実践的な防災訓練や出前講座を実施して災害に備えます。
高齢化、過疎化など地域の実情で、自治会単位での自主防災組織の結成が困難な地域については、校区コミュニティ協議会単位による組織化も含め支援を行い、地域防災力の向上に努めてまいります。
避難所については、要配慮者をはじめ市民が災害時において良好な避難生活が確保できる整備と備蓄物資などの配備拡充、関係機関との物資の提供や輸送などについて相互連携協力協定の拡充を図ります。
また、福祉避難所の指定については、要配慮者のために特別の
配慮がなされた設備や職員等が要件になることから、これらの設備等を有する社会福祉施設事業者等との協定を更に進め、
要配慮者の方々が安心して避難所生活ができる体制を確保してまいります。
防災教育の向上を図るため、将来を担う子どもたちとその保護者を
対象に、災害から身を守るための知識や安全な行動を学んでもらう体験型防災ワークショップの事業を、包括連携協定を締結した企業との協働により取り組みます。
消防については、地域住民にとって最も身近な地域防災の要である消防団員を支援するとともに、自治会等と連携を図りながら、団員の育成・確保に向けた様々な取組を積極的に行い、消防力の更なる強化に努めてまいります。
また、救命講習については、子どもから高齢者までの幅広い年代の方々への受講を促し、市民の救命率向上に取り組みます。
雨水排水対策については、計画等に基づく流出抑制設備の整備、
浸水・冠水区域においては断面改修や分水路の建設など、排水機能を高めた排水施設の整備を継続して実施し、道路冠水や
浸水被害などの軽減に取り組みます。
河川の氾濫や土砂災害等の予防対策として、寄洲の浚渫工事や
急傾斜地崩壊対策事業を継続して進めてまいります。
自然と共生する快適な生活環境を実現するために、ゼロカーボンシティとして、令和5年度に策定する第2次姶良市環境基本
計画の中で、2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロを目指すことを盛り込み、また、令和6年度までの2か年で策定する地球温暖化対策実行計画の中で、その具体策について検討してまいります。
太陽光発電設備等の設置については、当該発電事業者等に対する
基本的な事項を定めた「姶良市再生可能エネルギー発電設備の設置に関するガイドライン」を、来月3月1日から適用します。
発電事業者等においては、ガイドラインに基づき、地元自治会や近隣関係者等に対する説明会の開催や戸別での周知により、計画段階における概要等について意見を聴く場が設けられることから、不安の解消や地域との良好な関係の構築につながるものと考えています。
あいら清掃センターについては、主要機器の耐用年数が迫っていることから、令和5年度中に、循環型社会形成推進地域計画・
長寿命化計画を策定することとしております。
空き家については、空家等対策計画に基づき、新たな空き家などの発生を抑制し、増加のペースを抑えるため、空き家セミナーや無料相談会、空家解体事業補助などを継続するとともに、空き家バンク制度については更なる周知・広報を行い、登録件数や物件の成約件数の増加に向けて取り組みます。
生活安全性の向上を図るため、自治会防犯灯及び通学路防犯灯の整備やLED化の推進、通学路を含む生活道路などにおける安全確保に努め、市民、地域、事業者と協働し、安全で安心して暮らすことのできるまちづくりを進めます。
上水道事業については、将来にわたって安全・安心な水を、安定的に供給できるよう重富水道施設の整備を進めるとともに、老朽管の布設替えにより管路網の整備を行い、耐震化を推進します。
また、下水道事業については、生活環境の改善と公共用水域の
水質保全を図り、安全で安心、衛生的な市民生活を確保するために、下水処理施設の適正な維持管理を行ってまいります。
帖佐駅バリアフリー化事業については、本市などの事業費負担のもと、JR九州が事業主体となり、エレベーターやバリアフリートイレなどを整備することとしており、令和5年度から着工し、6年度末の完成を目指しております。
また、帖佐駅前広場の整備については、児童や高齢者など歩行者の安全確保が求められていることから、県が実施している都市計画道路 帖佐駅三拾町線と関連して事業推進を行っているところであり、引き続き計画的に事業を実施してまいります。
高齢者等の移動手段として導入しているコミュニティバスや予約型乗合タクシーについては、今後とも、利用者の利便性向上やニーズに対応するため、適宜、運行形態等を見直しながら、公共交通の利用促進に取り組みます。
道路については、地域の活性化を支える幹線道路の整備を進め、
生活道路の維持・整備を図るとともに、橋りょう、トンネル及び
市営住宅については、長寿命化計画に基づき、年次的な改修等を実施してまいります。
国において整備を進めている、白浜地区の国道10号の4車線化については、引き続き早期完成に向けて要望を重ねてまいります。
3.今後の行財政運営について
次に、今後の行財政運営についてであります。
コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、緩やかに持ち直しつつある一方で、エネルギー・食料価格の高騰、世界的な景気後退の懸念などにより、我が国経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。
国は、令和5年度予算編成に当たって、足元の物価高を克服しつつ、経済再生の実現に向け、人への投資、デジタルトランスフォーメーションなど成長分野への投資、少子化対策・子ども政策等の充実、防災・減災等の国民の安全・安心の確保など重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講じ、メリハリの効いた予算編成とするとしています。
また、地方財政については、社会保障関係経費の増加が見込まれる中、地方公共団体が行政サービスを安定的に提供できるよう一般財源の総額について、実質的に令和4年度地方財政計画と同水準を確保したとしております。
次に、鹿児島県は、令和5年度予算編成に当たって、持続可能な行財政構造を構築するため、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に引き続き取り組む必要があるとし、「かごしま未来創造ビジョン」に沿って、新たな取組を重点的に推進するため、メリハリをつけた予算配分や事業の見直し・組替え等を行うとしています。
姶良市では、歳入の根幹である市税について、年々増収となっておりますが、昨今の社会情勢を踏まえますと、今後の大幅な伸びを期待することは難しい状況にあります。
一方、歳出については、高齢化の進行などによる社会保障関係経費の更なる増加や、公共施設の老朽化対応など多額の財政負担が見込まれております。
令和5年度は、令和3年度からの3年間を対策期間とする『姶良市財政健全化緊急対策』の最終年度であります。多様化・複雑化する市民のニーズに応えていくために、財政健全化に向けた取組を継続し、持続可能な財政構造を構築してまいります。