更新日:2021年9月21日
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手足口病
手足口病の感染予防を心がけましょう。
手足口病とは
手足口病は、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られます。1950年代後半に認識されたウイルス性発疹症であり、我が国では 1967年頃からその存在が明らかになりました。
疫学
手足口病は4歳位までの幼児を中心とした疾患であり、2歳以下が半数を占めますが、学童でも流行的発生がみられることがあります。また、学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いので、成人での発症はあまり多くありません。
感染症発生動向調査によると、国内における手足口病流行のピークは夏季ですが、秋から冬にかけても多少の発生が見られます。
感染経路
主として咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染でおこりますが、便中に排泄されたウイルスによる経口感染、水疱内容物からの感染などがありえます。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失した患者も2~4週間にわたり感染源になりえます。
臨床症状
3~5日の潜伏期をおいて、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mm の水疱性発疹が出現し、時に肘、膝、臀部などにも出現します。
口腔粘膜では小潰瘍を形成することもあります。発熱は約1/3に見られますが軽度であり、38℃ 以下のことがほとんどです。通常は3~7日の経過で消退し、水疱が痂皮を形成することはありません。
基本的に予後は良好な疾患ですが、稀に幼児を中心とした髄膜炎、小脳失調症、AFP、脳炎などの中枢神経系合併症を生ずることもあります。
治療
特別な治療を要しないことがほとんどです。
発疹にかゆみなどを伴うことは稀であり、抗ヒスタミン剤の塗布を行うことはありますが、副腎皮質ステロイド剤などの必要はありません。
口腔内病変に対しては、刺激にならないよう柔かめで薄味の食べ物を勧めますが、何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要です。薄いお茶類、スポーツ飲料などで水分を少量頻回に与えるよう努めましょう。ときには経静脈的補液も必要です。
発熱に対しては通常解熱剤なしで経過観察が可能です。抗生剤の投与は意味がありません。
しかし、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎などへの進展を注意しましょう。合併症を生じた場合の特異的な治療法は確立されていません。
予防
予防としては、接触予防策および飛沫予防策が重要であり、特に手洗いの励行などは重要でです。患者あるいは回復者に対しても、特に排便後の手洗いを徹底させましょう。
手足口病の原因ウイルスに対するワクチンはありません。
手足口病に関するQ&A
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