更新日:2016年9月6日
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3.今後の課題
宮城県塩竈市への派遣期間が平成28年3月をもって終わりました。
短い期間でしたが、塩竈市で従事したことは大変貴重な経験となり、たくさんの方と出会い・絆を紡ぐことができて、とても幸せでした。
被災地の公営住宅を目の当たりにして──。
プレハブ住宅に住む方々の現実
私が担当した応急仮設住宅について、塩竈市には、大きく分けて5つの地区にプレハブ応急仮設住宅(以下、プレハブ住宅)が整備されていました。その中の浦戸諸島にある3地区のプレハブ住宅は、災害公営住宅などの整備が完了したことにより、入居者のみなさんは新しい住宅へ再建することができました。このようなこともあり、3地区のプレハブ住宅のうち2地区はすでに解体も完了し、残り1地区は平成28年度中に解体する予定です。
プレハブ応急仮設住宅
つづいて、浦戸諸島以外の2地区のプレハブ住宅は、こちらの地区の入居者も減ってはいるものの、まだ多くの方が再建先に転居できずにいます。要因としては、災害公営住宅の整備が完了していないことです。2地区のプレハブ住宅入居者はもちろん、それ以外の応急仮設住宅入居者も災害公営住宅の完成を心待ちにしています。
本当の意味での「復興」に向け──。
災害公営住宅
平成28年度中にはほとんどの災害公営住宅が完成します。多くの方が新しい生活をスタートさせる年になりそうです。
塩竈市の応急仮設住宅は、これから収束に向かい、応急仮設住宅の立場から見れば復興が進んだ形になります。
しかし、東日本大震災からの本当の意味での「復興」にはまだまだ時間がかかるのだと痛感しました。
少しずつ復興していくまちの姿
塩竈市内の復興の状況です(平成28年3月現在)。復興前の状態はそれぞれの写真のリンク先をご確認ください。
マリンゲート付近・復興市場の解体
マリンゲート西側の広場に設置されていた「しおがま・みなと復興市場」跡地。平成27年5月末で期限終了となり、解体・撤去が大きく進みました。正面には津波避難デッキの姿も見えます。
これからの課題───。
住宅再建をされた方々は、これから新しい再建先でのコミュニティを一から形成していかなければなりません。
そこで課題になるのが、コミュニティの希薄化です。応急仮設・災害公営住宅などの入居者は、特にコミュニティの希薄化が高くなる傾向にあります。
災害公営住宅に再建される方の割合は、高齢者の世帯が特に多いので、人と触れ合う機会が少なくなったり、コミュニティ活動の担い手が不足するなどの課題が残っています。
辞令交付式での一幕
これらの課題を解決するためには時間がかかりますが、解決しなければ本当の意味での「復興」にはならないと思っています。これからも、見守りや交流の場としてサロン活動を開催したり、引き続きさまざまな支援活動を行い課題解決を図っていくことになります。
復興支援に最後まで携わることができずに派遣期間が終わったことは心残りですが、私が経験したことを伝えることで復興の輪が広がれば幸いです。