更新日:2024年4月8日
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代表的なハラスメント
ハラスメントには、様々な種類があります。その中でもテレビやインターネットなどのメディアによく登場する代表的なハラスメントは次のとおりです。
パワハラ(パワー・ハラスメント)
パワハラとは、職務上の地位や人間関係などでの優位な立場を利用し、精神的・肉体的な嫌がらせを行ったり、職場環境などの周辺環境を悪化させたりする行為のことです。
具体的な内容
第三者から見ても明らかな行為
- 無視したり、明らかに冷たい態度をとったりする。
- バカにしたり、皮肉を言ったりする。
- 相談や意見を常にはねつける。など
第三者からはわかりにくいが、加害者の意図が明らかな行為
- わざと孤立させる。
- 業務上必要なコミュニケーションを避ける。
- 不適切な業務分担を行う。など
第三者からもわかりにくく、また加害者本人も自覚がない行為
- 業務を遂行する上で必要な情報や知識、サポートを与えない。
- 病気休暇や有給休暇の許可を与えない。
- 何度も一方的にミスを厳しく非難する。など
もしパワハラの被害者になってしまったら
パワハラの被害にあったときは、次のような方法などを使って対処していくことになります。また精神的な不調を発症している場合は、心療内科や精神科などの医師へ相談するという方法もあります。
- 証拠をそろえる。
- 職場内の相談窓口に報告・相談する。
- 職場以外の相談窓口に報告・相談する。
※職場以外の相談窓口としては、代表的なものとして「労働局」が挙げられます。また厚生労働省が運営している「こころの耳(外部サイトへリンク)」というサイトでは、どういうときにどこに相談したら良いかがわかりやすく掲載してあります。
注)指導や注意がすべてパワハラというわけではありません!
上司や先輩からの注意や指摘、指導がすべてパワハラに該当するというわけではありません。パワハラはセクハラとは違い、行為を受けた人が注意や指導に不満を感じても、「客観的に見て、その行為が業務を進める上で適正な範囲内」であれば、パワハラにはあたりません。
【具体的な例】
- 常識の範囲内での指導・教育・業務命令。
- 会社の就業規則にそぐわない髪型や服装についての注意・指導。
- 仕事の延長上にある飲み会(歓送迎会や壮行会など)への参加の誘い。など
モラハラ(モラル・ハラスメント)
モラハラとは、言葉や態度によって人の心を傷つける精神的なDVの一種。相手の望まないことや望まない価値観を「押し付ける」ことは、モラハラになります。加害者は相手を傷つけることが目的ではないので、暴力は振るいません。また第三者から見た加害者の印象も悪くないため、相談しても信じてもらえなかったり、反対にせめられたり、被害者は孤立しやくなります。周囲からは些細なことにみえる行為であっても、繰り返し行われることで、想像以上の精神的苦痛をもたらすこともあります。
職場でのモラハラの具体的な内容
言葉編
- 人格・能力を否定する言葉を使う。
生きている価値がない、何をやっても駄目なヤツだなど
- コンプレックスを持っている弱点・欠点を言う。
太っている、髪の毛が薄いなど
- 聞こえるように嫌味を言う。
仕事はできないくせに人の世話を焼いているヤツがいるなど
- 家族を非難する。
お前の家族なのだから、どうせろくでもない家族だろうなど
- 退職を促す
いつでも辞めていい、まだ会社にいるつもりかなど
態度編
- 罵声をあびせる。
- あいさつや会話をしない(無視する)。
- 目の前でヒソヒソ話をする。
- 執拗に注意したり、叱りつけたりする。
- 悪いうわさを流す。
- 仕事を取り上げる、新しい仕事を与えない。
- 必要な備品を与えない。など
家庭内でのモラハラの具体的な内容
- 相手に対して、平気でうそをつく。
- 自分を正当化する。
- 自分は悪くない、相手に責任転嫁する。
- 相手に対して共感性がない。
- 相手を不安にさせ続ける。
- 言葉で相手を侮辱する。など
もしモラハラの被害者になってしまったら
まずは必要以上に自分を責めないことが大切です。モラハラの原因は、加害者の状況や性格による部分が多く関係し、「自分が悪いからモラハラが起こっている」とは限りません。他にも相手に同情しないようにしたり、相手の言動に過剰に反応したりしないことも重要です。なお状況がまったく改善されないもしくは時間が経つごとに悪化するような場合は、「逃げる」ことで状況が改善する場合もあります。
セクハラ(セクシャル・ハラスメント)
セクハラとは、性的嫌がらせ、または相手の望まない性的言動のすべてのことを指します。セクハラはパワハラとは違い、相手が嫌だ・不快だと感じたら、セクハラになります。
具体的な内容
- 言葉によるセクハラ
性的な冗談を言ったりからかったりする、しつこく食事やデートに誘ったりする。など
- 視覚によるセクハラ
わいせつな絵や写真を提示する。など
- セクハラ行動
性的関係の強要、身体への不必要な接触、強制わいせつ。など
もしセクハラの被害者になってしまったら
加害者に直接伝えることが難しい場合は、次のような方法があります。
- 身近な人に相談する。
- 証拠を残す。
- 職場の相談窓口に相談する。
- 上司を通して伝える。
- 専門機関に相談する。
【相談先】
鹿児島労働局雇用均等室099-222-8446
鹿児島労働局総合労働相談コーナー099-223-8239
鹿児島地方法務局(女性の人権ホットライン)099-259-7855
鹿児島県男女共同参画センター相談室099-221-6630・6631
そのほか、弁護士や警察など
マタハラ(マタニティ・ハラスメント)
マタハラとは、働く女性が妊娠・出産・育児をキッカケに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産・育児などを理由とした解雇や雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったりするなどの不当な扱いのことです。
※雇い止め・・・契約期間の定めのある契約をしている従業員に対して、会社側が契約を更新せずに会社を辞めさせること。契約期間の定めのある契約をしている従業員(パートやアルバイト、契約社員)は、人員整理の矛先になりやすい。
具体的な内容
- 妊婦に対しての解雇を促す圧力
妊娠しているにもかかわらず妊娠前と同様の仕事量をこなすようプレッシャーをかけられる、「妊娠したときは、退職してください。」など言われる、育児休暇や産前産後休暇を認めてもらえない。など
- 職場の不理解による、上司からの圧力
「妊婦だからといって特別扱いはしない。」「妊婦だからといって甘えるな!」などと言われる、定時に帰ったり時短出社することを許してもらえない。など
- 同僚からの悪口やいじめ
妊婦に対して悪口を言う、直接的ないじめを行う。など
- 価値観の押し付け
「子育てしながら働くのは大変だぞ。」「家庭に入って子どもを第一に考えるべきだ。」と言って、子育てに専念させようとしてくる。など
もしマタハラの被害者になってしまったら
- 上司や同僚、そういった相談を専門に取り扱う部署に相談する。
法律事務所や厚生労働省でもマタハラの相談を受け付けています。
- 証拠を集めておく
直接的な嫌がらせのメールや書類はもちろん、ボイスレコーダーによる会話の録音も重要な証拠になります。
※育児休暇や産前産後休暇をとることは、妊婦の権利のひとつです。しかしその一方で、周囲の上司や同僚が休暇中の仕事を受け持ってくれていることも事実です。職場の理解が得られるよう、できれば上司や同僚とよく話し合っておきましょう。