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クローズアップ
Spider-fighting City "AIRA"
くも合戦
人気ブロガーも注目する全国的にも珍しい伝統行事「くも合戦」。
地元学校では授業に取り入れられるほど地域に根付いている。
合戦の日、蜘蛛たちのコロシアムが多くの人々で沸く
ユネスコ「プロジェクト未来遺産2018」に認定!
平成30年12月14日、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟から、
この先100年後の子どもたちに日本各地に存在する美しい自然や文化を守り伝えていくため、
次世代への継承に取り組む「プロジェクト未来遺産2018」に認定。
ユネスコ第10回 プロジェクト未来遺産【2018年度】(外部サイトへリンク)
メディア、写真愛好家たちが一点に注目する「くも合戦」。
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くも合戦大会開催案内
2024年(令和6年)
6月16日(日曜日)
午前8時30分~(予定)
場所 加治木福祉センター
駐車場はこちら(PDF:3,286KB)
問合せ窓口
商工観光課
☎0995-66-3111(代表)
姶良市加治木町くも合戦大会
くも合戦は、島津義弘公が文禄・慶長の役(1592年~1598年)に参戦し、その陣中で兵士を元気づけるために
コガネグモ(メス)を集めて戦わせたのが始まりと伝えられています。
現在は、平成3年8月に設立された「くも合戦保存会」の主催で毎年6月第3日曜日、姶良市加治木福祉センターで
開催され、国内だけでなく海外からも取材を受けるなど広く注目を集めています。
当日は小学生から合戦歴50年以上のベテランまで毎年200人近い「ファイター」がエントリーします。
参加者の熱意あふれる光景、今なお地域に愛され、地元の人々や事業所など地域全体で伝承されるくも合戦。
全国でも稀な伝統行事をぜひ体感してみてはいかがでしょう。
大会コンテンツ
くも合戦大会は、3つの部門で構成されています。
1.優良ぐもの部
裃を着た審判員たちが審査する優良ぐも。八頭身ですらりとしたスタイル、クモの色艶や姿形の美しさを競う。
2.合戦の部
長さ60㎝の横棒(ヒモシ)の上が決戦場。1匹のクモは最大3回戦うことができ、3匹の勝ち数の合計で順位を決める。
ぜひ動画で合戦の模様をご覧ください。
試合方法は、ヒモシの先端に「かまえ」と呼ぶくもを待機させ、「しかけ」の対戦ぐもを行事が仕切って向い合せた状態で対戦させる。
勝敗は次の4パターンある。
- 相手のくもの尻(ドン)に平たい糸をかけたものが勝ち。
- ドンにかみついたものが勝ち。
- 相手のくもが糸を垂れてヒモシからぶらさがったのを、すかさずその糸を切り落とした者が勝ち。
- 戦闘意欲のないくもは、行事の判断により引き分け。
出場条件は、ひとり必ず3匹のくもを出場させること(メスに限る)。1匹のくもは最大3回対戦する資格を持ち、負けた時点でそのくもは出場資格を失う。3勝したくもは王将戦の参加資格を得られる。
3.王将戦の部
合戦の部で3連勝したクモだけが出場でき、トーナメント形式でチャンピオングモを決定する。
地域に根差す「くも合戦」のサイドストーリー
保存会では合戦の継承の一環として子どもたちにくも合戦について勉強会を開いています。
地元の小学校や保育園では合戦にあわせ、保存会員を招きコガネグモの習性や合戦の競技ルールを学びます。
毎年5年生がくもを採集して教室で飼育。本合戦の翌日には、子どもたちが司会や行事を務める
「もう一つのくも合戦」が校内で開催されます。
すべてのくも合戦に出場するくもは、もとの生息地に帰してあげるのが鉄則。
合戦中、かみついて勝敗が決まりそうなときには、その直前で軍配を上げ、くもが傷つかないよう、
主役であるくもたちにも配慮しています。
ここ20~30年でくもの数も減り、現在では優秀なコガネグモを探すため、南薩(薩摩半島の南部)や大隅半島まで足を運び採集します。温暖化や農薬、開発などさまざまな要因が考えられますが、地元で採集できる数は激減しています。
くも合戦を継続することは、自然や生態系の構造、環境問題まで及ぶ知識をこの伝統行事から学ぶことにもつながっています。県立加治木工業高等学校のラグビー部は、くも合戦の地であることからチームの愛称を「レッドスパイダーズ」としています。日ごろ鍛えた持ち前のパワーで合戦会場の設営などの力仕事もボランティアで協力しています。
子どもから大人まで、合戦は遊びではない──。
参加者たちの真剣な眼差しからも伝わる伝統行事への思いが400年間、脈々と受け継がれています。
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