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さげもん0

華やかな和の色彩に癒される大切な人の多幸を願うひな飾り

 風情ある和柄の生地でつくった鶴やうさぎの人形や色鮮やかな糸で巻き上げた毬などをつりさげて飾る「さげもん」。福岡県柳川地方に伝わる伝統的なつるし飾り(つるし雛)は、この地方の方言で「さげもん」と呼ばれている。女の子の初節句のお祝いにひな壇の両脇などに飾られ、幸せと健康、無病息災、良縁の願いが込められている。
 このさげもんをグループで制作し、毎年3月初めに地元の公民館で展示会を開催しているのが青葉台老人クラブ「悠遊クラブ」。さげもんのほかに、縁起のよい鯛の置物や可愛らしい人形など、趣向を凝らした作品が並ぶ。材料となる生地は、各地の骨董市に出向き、大正から昭和初期の着物や布の端切れを使用。質感や柄の特徴を活かし、新たな作品へと生まれ変わる。展示会は3日間に渡って開催し、例年約400人の観覧者が訪れ、今年で9回目を迎える。
 

 「こんなに長く活動が続くと思わなかった」と会員の入部さん。悠遊クラブの結成当初は、お茶を飲みながらのサロンやグラウンドゴルフなどが主な活動だった。ある日、入部さんが立ち寄った小物店でさげもんに出会った。趣味で裁縫や手芸をしていたこともあり、その愛くるしさにぐっと引き込まれ、自らつくりはじめた。クラブの仲間にその話をすると「やってみたい、教えて」と入部さんの指導のもと、手芸の輪が広がった。「できあがりを見るとまたつくりたくなる」と完成したときの達成感や仲間と談笑しながら手先を使うものづくりの喜びを感じ、女性会員の参加者も増えていった。
 「地域のみなさんにも見て楽しんでほしい」と会員が一年間かけて手掛けた作品を公民館に展示する「ひな飾りとさげもん展」を企画。完成度の高い飾りの数々は新聞やラジオなどでも取り上げられ、現在は出水や鹿屋、遠くは人吉から足を運ぶ人もいる。希望者には縫い方の指導や型紙を提供するなど、さげもんを通じた交流も生まれ、作品の一部は市の社会福祉協議会や老人ホームへ寄贈。老人クラブの活動目標のひとつである地域貢献の一翼を担えればと考えている。


 「家を出てみんなで集まり楽しむことが大切」と広報部長の脇田さんは話す。この活動が会員の生きがいづくりにつながっている。会場設営や作品の搬入は男性会員が主に担当。力仕事や駐車場整理など、心強いサポートが展示会を支えている。展示終了後は手づくり料理や菓子を持ちより反省会。作品づくりや会場準備での苦労話、観覧者とのエピソードなどを語り合うひとときも活動の原動力になっている。
 定期的にカラオケやグラウンドゴルフを楽しむこともある悠遊クラブ。健康づくりや地域活動を通じて互いに助け合う地域の絆は強い。「仲良くみんなで続けていきたい」と華やかに節句を飾るさげもんのように、生活や地域に彩りを添える活動をしていきたいと今年のさげもん展にも力が入る。

さげもん

さげもんの小物には鶴やうさぎ、金魚などの動物や人形がつるされる。一つひとつに意味があり、子どもの健やかな成長を願う江戸時代から伝わる風習といわれている。

ブス姫

愛嬌があって思わず顔がほころんでしまうその名も「ブス姫」。会員それぞれが想いを込めたあたたかい作品が並ぶ。

「さげもん」展示会

日時 令和2年3月1日(日)、2日(月)午前10時~午後5時

   3日(火)午前10時~午後3時

場所 青葉台公民館

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