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幾千の言葉で心を笑顔に

松元

文字を幾重に重ね、想いを転写するクリエイター

 「描けば描くほど、心地よい気持ちになりますよ」と話す「言霊アート」画家の松元さん。「言霊アート」とは言葉(文字)で絵を描いたり、絵の中に文字を書き加えたりする絵画のことで、松元さんは独自の作風で感謝や平和を伝える言葉を書き連ね、ひとの笑顔や風景、幾何学模様などを描く。繊細で温もりと癒しを感じる独創的な絵は口コミで評判が広まり、制作依頼や絵画教室の講師を務めるなど、県内外で活動している。


 お経を書き写す仏教の写経にも似ている松元さんの絵。原点は自身の心を癒やすためにはじめた趣味だった。上京して勤めた警備会社は、炎天下や極寒のもとでの業務も多く、その過酷さで心身がすり減ることもあった。そんなとき、小学生の頃に絵画コンクールで賞をもらったことを思い出し、息抜きになればと絵を描いてみた。上手に描けなくても気持ちを込めて描こうと「ありがとう」や「すばらしい」など、前向きな言葉を書き加えてみた。何度も言葉を重ねるうちに心も軽くなり、日常の幸せや周囲のひとへの感謝の気持ちが湧いてきたと語る。
 露店やイベント会場で出品すると、絵を観て涙を流すひとや部屋に飾りたいと購入してくれるひとも現れ、画家の道に進むことを決意。これまで全国各地で展示会や絵画教室を開いてきた。教室に参加していたロシア人との出会いがきっかけで、平成30年にロシアのハバロフスク美術館で展示会を実施。多くの来観者が訪れ、言葉や礼儀を大事にする日本文化に触れることのできる作品だと現地のマスコミでも取り上げられた。現在は、制作活動をしながら、姶良市働く女性の家の市民講座や鹿児島実業高等学校の研修で講師も務め、受講者にも「気持ちが清々しくなる」「心が落ち着く」と言霊アートの楽しさが広がっている。


 夫婦でお茶を飲みながら、自宅の庭木を眺める時間が好きな松元さん。当たり前のようにある自然や日々の暮らしに感謝することで生き方も前向きになれると話す。絵を観るひとの幸せを願い、言葉の一つひとつに想いを込めた松元さんの創作は続く。「誰かにとってのお守りのような絵になりますように―」

ロシア展示会

 ロシアの美術館で展示期間中に絵画教室を開催。言葉は違っても芸術と想いは共感できたと松元さん。

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