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伝統の味をとどける

煮しめ×隈原ニンジンの魅惑 ―― 。
日本の伝統的な家庭料理のひとつである「煮しめ」。そんな煮しめの良さを伝えていくために本市が開催している「煮しめグランプリ」という煮しめ作りのチャンピオンを決める大会がある。今年2月に開催された第4回大会でグランプリに輝いたのは、日髙笑子さんを中心として加治木町農産加工株式会社で一緒に働く3人で構成されたチーム「くまはいむすめ」。普段から煮しめを作っている3人だが、グランプリを獲るのは簡単ではなかった。
加治木町西別府の隈原台地で収穫される「隈原ニンジン」と言われ地元で愛されるニンジンがある。大根のように太く、だいだい色が濃く実に鮮やか。果物に匹敵するほどの甘さも特徴のひとつで、糖度は8%を超える。そんな隈原ニンジンをたっぷり使って作られた彩り豊かな煮しめが、くまはいむすめが作る煮しめである。

大会1日目の調理風景。いつも通り手際よく丹精込めて調理する3人。
煮しめグランプリでは各チーム自慢の煮しめの味だけではなく見た目や地域性、独自性なども総合的に審査される。食材や味付けなどに斬新なアレンジを加えるチームもあるなか、昔ながらの伝統的な煮しめを作りあげるくまはいむすめ。「グランプリを獲れると思っていた」と自信を持って臨んだ第3回大会で惜しくもグランプリを逃したことから、第4回大会ではさらに工夫を加えた。20年ほど前に使用していたアイデアである砂ずりを入れたり、ニンジンをハート型や星型に切り抜いたりして見た目にもこだわった。第1回大会から参加し続け、試行錯誤しながら4回目の挑戦にして掴んだ栄光はやはり嬉しかった。
第5回煮しめグランプリの参加者募集も始まり、いよいよ開催が近づいてきた。もちろんくまはいむすめも参加予定である。実は毎回チーム名を変えて参加しているこのチーム。第1回大会は「にんじん娘s」として参加しJAあいら組合長特別賞、第2回大会は「キャロットむすめ」で参加したがコロナウイルスの影響で中止になり、第3回大会は「にんじんむすめ」で参加し姶良市長特別賞を受賞している。次のチーム名はまだ決まっていないとしながらも「どうせなら全部の賞を取りたいよね」と3人で笑いながら話すが、もちろん狙うは連覇でグランプリ。今度はどんな煮しめが出揃うのか。くまはいむすめはグランプリに輝けるのか。第5回を迎える「煮しめグランプリ」と「くまはいむすめ」から目が離せない。

グランプリに輝いた「くまはいむすめ」の煮しめ。懐かしい味が好評。