ここから本文です。
ロープレスキューで守る命
人の命と笑顔を守るために鍛錬に励む。
ある日の午後、さえずりの森の敷地内にある大きな橋から10mほどロープを垂らし、下方で流れる川付近の人を引き上げ「引け引け!がんばれ!」と互いに声援を送る隊員たちの姿 。彼らは救助技術の向上をめざし、有志で結成された姶良市消防のチーム「GORIRA(ゴリラ)」のメンバーである。火災や自然災害が起こった時の人命救助など、市民の命を守る「消防士」。日々、業務中にも訓練に励むが、さらに高いレベルの救助技術を習得するために、隊員たちは休みの日(非番)を活用して鍛錬を重ねる。彼らを突き動かすのは「有事の際に人命を守りたい」という熱い思い。
GORIRAのメンバーが訓練で取り組むのは「ロープレスキュー」と呼ばれる救助方法。渓谷や崖、ビルや鉄塔など足場が不安定で高低差がある場所で、ロープと「フルハーネス」という機材を使用して要救助者を救出するものである。川辺ダムや丸岡公園の吊り橋など、足がすくむほどの高低差がある場所で定期的に訓練を続けている。さらに同チームは今年1月に愛知県で開催されたロープレスキューの大会にも出場。大会では「救助の手順の正確さ」「どれだけ早く要救助者を救出できるか」などを競う。部長を務める松下さんは「全国規模の大会で、レベルの高い救助を見て刺激を受けた。どんな状況にも対応できるよう、今後も技術の向上に努めていきたい」と大会を振り返った。
休みの日を利用し、地域貢献の一環として除草作業に取り組む。
難所での救助スキルを高める一方、水辺での救助活動にも携わる同チーム。鹿児島や阿久根の遠泳大会ではスタッフとして参加。もしもに備え、ライフセービング活動にあたる。また、昨年開催された国体のカヌー競技では審判員としても活躍した。これらの活動は全て休みの日に、ボランティアで取り組んでいる。メンバーの植木さんは「遠泳大会などでは参加者が一生懸命頑張っている姿を見ながら活動しているので、こちらも元気をもらえる」とやりがいを語る。
その他、さえずりの森の除草作業などにも取り組み「地域貢献」に重きを置く同チーム。メンバーたちは和気あいあいと楽しみながら活動していて「誰かのために何かしたい」と進んで参加しているという。今年の夏は永原夏祭りのお手伝いや柁城小学校親子親睦キャンプの活動支援など既に協力依頼が寄せられている。キャンプでは子どもたちにロープを使用した自然体験を味わってもらう。
活動の幅を広げ、色々な視点から〝人助け〟をするGORIRAのメンバーたちの今後の活躍に期待が高まる。
ダムでの訓練により、過酷な現場での救助の流れを確認する。