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ケアラーたち心の拠り所

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介護をしている方を決して一人にしない。

昨今、耳にすることが多くなった〝ヤングケアラー〟という言葉。家族の介護が必要な場合に、本来大人が担うような家事や家族の世話、介護などのサポートをする18歳未満の子どもの呼称である。
 本市でヤングケアラーをはじめ、仕事と介護を両立する〝ビジネスケアラー〟など様々な〝ケアラー〟の支援に取り組む、有村繁樹さん。本業はケアマネージャー(介護支援専門員)で、介護を必要とする方がへルパーやデイサービスなどの介護保険サービスを受けるために必須となる〝ケアプラン〟の作成や介護事業者との調整などを担っている。ケアマネージャーとしての業務の傍ら、家族の介護をしている方、いわゆるケアラーのサポートにも尽力する。
 有村さんがケアラーへの支援を始める契機となったのは、遡ること7年前。ケアマネージャーとして担当していた家庭で、両親が事故に遭い、子どもが親の介護や兄弟の世話をしている状況を目の当たりにした。介護事業所の紹介や補助制度の活用によりサポートできたものの、支える家族が精神的に疲弊する姿を見て、心のケアの必要性を強く感じたという。「介護する側の相談相手がいなかったり、居場所がなく孤立してしまったりすると精神的に苦しい。そういった深刻な事態に陥らないようにケアラーの心の拠り所をつくりたい」と支援の想いが芽吹いたきっかけを話す。

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ケアマネージャーとして利用者宅で介護保険サービスの調整をする。

令和3年9月、初めての主催となるケアラー支援イベント「看取りカフェ」を開催。看取りの経験がある人や医師を講師として招き、現在、介護している、もしくは今後介護する予定の方々の情報交換の場となった。参加者から「親の介護で自分と同じような悩みを持っている人と共感し合えて心が軽くなった」「介護で困ったときにいつでも相談できる窓口を知ることができてよかった」などの嬉しい声が届いた。
 有村さんの試みはその後も続き、ヤングケアラーカフェ、ビジネスケアラーカフェなど介護者を支えるイベントを続々と開催。ふらっと立ち寄れるように公民館やイオンタウン姶良などを会場に選んだ。さらに「負担なく気軽に参加してほしい」と参加費無料でイベントを運営。その度に寄せられる「ここに来てよかった」と明るい表情で帰っていく参加者の声が支援活動の原動力だという。現在、子育てと家族の介護を両立する〝ダブルケアラー〟を支援するイベントも計画中。ケアラーを支える有村さんの取り組みはまだまだ続く。

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あいらびゅーFMや鹿児島市のFMラジオに出演し、福祉の輪を広げる。

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