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建てる。世代を超える拠りどころ

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着実に、確実に「市役所新庁舎建設」プロジェクト

 まちの真ん中で空に向かってひと際高く伸びるクレーン。着々と進む姶良市役所本庁舎の建て替え工事現場では毎日、何台ものトラックやショベルカーなどがせわしく動き、多くの職人たちが汗を流している。この大工事を請け負うのはJV(ジョイント・ベンチャー)と呼ばれる共同企業体で、主に3つの建設会社で組織されている。株式会社フジタの椛島健志さんはその最高責任者だ。
 「安全に、確実に高品質のモノを造り上げることが私たちの仕事です」と椛島さん。現場の進捗管理はもちろんのこと、コストコントロール、作業員の安全管理、周辺住民への配慮など現場敷地外にまで神経を張り巡らす。「建設は様々な災害を想定し、想定値のさらに上のレベルを基準に進められています」という現場では、121本の杭が地下43メートルまで打ち込まれ、免震技術の粋を尽くした「支承」と呼ばれる装置が庁舎本体部分を支える。大地震時に想定される横揺れの最大幅60センチも施工では70センチを基準に施工。災害に負けない頑強な防災拠点は、緻密な計算が幾重にも重ねられた計画を元に、今日も着々と建設が進められている。

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進む庁舎建設の進捗度は約50%。ちょうど折り返し地点(撮影は1月中旬)。

 来年5月の開庁に向け日増しに高くなる足場。視覚的に工事の進みが感じられ期待と関心も高まっている。「市民のみなさんはもちろんですが職員のみなさんにとっても使いやすい、仕事がしやすい環境にしたい」と建て終えた後のビジョンにも思考を巡らせる。「あれがあればよかったのに」「これは必要なかった」ということがないよう、毎週の打ち合わせでは関係者を招集。都度、要望を吸い上げ、机上のプランに付加できないか可能性を探る。
 異なる会社同士が入り混じる建設工事現場という特殊な環境では、コミュニケーションが一層大切になる。「まめな声掛けや休憩中のたわいもない話をすることも心がけています。自分のいい息抜きにもなるんです」とゆったりとした優しい笑顔を見せる椛島さん。現場を俯瞰し全体の足並みを揃える姿は、さしずめ庁舎建設の大親方といったところだ。
 2021年12月の起工式からおよそ1年2か月。椛島さんは責任の大きさに眠れない夜もあったというが「ペースを維持して後世に残る立派な庁舎を建てます」と昂然と語る。足場がはずれ外観があらわになるのは約半年後のこと。まちの姿が変わる一大プロジェクトに注目だ。

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 免震装置「支承」の取付作業の様子。ゴムの“もとの形に戻る”性質を利用し、地震の激しい揺れを減衰させる。

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姶良市役所本庁舎 新築工事作業所  所長 椛島健志さん

 熊本の大学を卒業後、準大手ゼネコンであるフジタに入社。東京支店に配属され各地の現場を巡り、九州支店への異動後も離島の巨大リゾート施設や鹿児島市の結婚式場など地図に残る仕事を全うしてきた。趣味はゴルフ。週末は重富の打ちっぱなしでリフレッシュするのだという。

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