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ほとばしる競技愛。全身で――。

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県内で唯一の指導者は、県内唯一の競技者。

 健康の増進や維持を目的とするエアロビクスから競技性を高めて派生した「エアロビック」。アップテンポな曲に合わせ、軽快なステップと体操技を連動させる採点競技で、国内でも毎年世界大会が開催されている。しかしながら、本県ではまだ認知度の高い競技にはなっておらず、成人の競技選手はなんとただ一人。「競ったり、高め合ったりする仲間はほしいですけど、私のエアロビックが好きな気持ちに人数は関係ないですね」と一途な想いを話すのは、エアロビック競技選手の濵田夏穂さん。ビーラインスポーツパーク姶良を拠点に練習に励み、エアロビックの魅力を広める活動にも力を入れている。

 「常に動き続けるのでタフなスポーツですけど、流れる音楽と身体がひとつになるような感覚は最高です」濵田さんが本格的にエアロビックに向き合い、身体表現の楽しさに魅せられたのは小学4年の時。小さい頃は運動音痴だったとふり返るも、みるみる上達する競技に夢中になっていった。「学友との部活動の経験を大切にしてほしい」という当時の指導者の希望があり中学では陸上部に所属。一転、投擲選手として練習に打ち込んだ。しかし、エアロビックへの情熱は一向に冷めることなく、進学先の高校はエアロビック技能検定を受けることができる国分中央高校に即決。陸上を継続しながら、再びエアロビックができる環境を手に入れた。在学中には5級から特級の6段階のうち中級者相当の3級を取得。「また夢中になりました。とにかく踊れることが嬉しかったです」と濵田さん。高校卒業後は、競技を普及するため自分に何ができ、何が必要なのかを肌で感じ学び取るため、県エアロビック連盟の理事長に弟子入りするような形で背中を追いかけた。

 2年後、20歳を迎えた濵田さんは競技者として再出発。身につけた経験と知識を活かし健康づくりの催しや体操教室で講師を務めるようになるなど活動の幅も広がった。「当面の目標はエアロビックがデモンストレーション競技になっている来年のかごしま国体です。たくさんの人に見てもらいたい」と大舞台での披露に意気込み十分。さらにその翌年に出場をめざす佐賀国民スポーツ大会(国体)では、いつも応援してくれていたという亡き父、純一さんが好きだった大河ドラマ「西郷どん」のオープニング曲に合わせ演技予定。自身で振り付けしたプログラムを目下、特訓中だと話す。幼少のころから求め続けたエアロビックの世界を、心底楽しむその気持ちはさらに熱を帯びている。

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 競技には激しい上下運動や跳躍が求められるためウェイトトレーニングを交えたハードな研鑽に励む。一方で次世代の育成や競技普及にも目を向ける濵田さん。体操教室などで身体を駆使した表現の楽しさに魅せられた小学生とともにエアロビックチーム「HOA(ホア)」を設立。自らが感じる競技の魅力を共感してほしいと指導者としても精を出す。

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 競技をするきっかけと楽しさをくれた恩師と、いつも近くで応援してくれた父純一さん。他界しても背中を押し続けてくれている2人だと話す。

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