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ミリ単位で勝敗分かつジャッジ

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ボッチャに魅せられて

 目標球「ジャックボール」に多くの球をいかに近づけるかを競い合うボッチャ。陸上のカーリングとも呼ばれ、コートでは深い戦略戦と精密な投球が繰り広げられる。昨年の東京パラリンピックでは日本代表団〝火ノ玉ジャパン〟が金・銀・銅メダルを獲得し脚光を浴びた。開催を来年に控えるかごしま国体・かごしま大会でも正式競技になっていて、様々なイベント会場で体験ブースが設けられるなど、県内でも注目度が高まっている。「プレーの駆け引きや戦術は複雑ですが、ルールは明解で性別も年齢も障がいの有無に関わらず誰もが夢中になれるのが魅力ですね」と話すのは花田さつきさん。日本ボッチャ協会公認の審判員だ。
 友人の誘いで8年前から市のスポーツ推進委員を務める花田さん。委員として高齢者施設などを訪問しスポーツの普及に取り組んでいた。活動をする中で次第に障がい者スポーツに惹かれ、かごしま国体・かごしま大会にボランティアスタッフとして参加することを決意。鹿児島県ボッチャ協会の設立にも携わった。「審判を重ねるたびに競技の奥深さを感じます」と毎月鹿児島市で開催される講習会に参加。正確で公正なジャッジを磨いている。

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 膝を痛めるまでバレーボールをしていた花田さん。今も身体を動かすことが好きで、趣味は山歩きやウォーキング。ボッチャでは審判員として競技を支える側だが、展開される真剣勝負のピリッとした空気を楽しむ。大きな大会を体感するため、今年の秋には栃木県で開催される全国障害者スポーツ大会の視察も予定している。

 ボッチャの審判員はバドミントンと同じくらいの広さのコートに3人。試合の進行や勝敗の判定をする主審。それを補佐する線審。投球時間を測定するタイマーだ。花田さんは公認審判員としていずれもこなすが、勝負を分けるジャックボールとプレーヤーのボールとの距離は、時にミリ単位で計測しなくてはならないため緊張感が付きまとうと話す。さらにファールのあった投球はコート上にある他のボールに当たることがないよう瞬時に止めなくてはならないため素早い判断が必要。「審判員としては駆け出し。ゲームを支える要となるよう技術を高めたいです」と容易ではない役割にも向上心をもって臨む。
 子どもも、高齢者も、障がいがある人も、ない人も全ての垣根を越え、ゲームでつながり、笑顔が生まれるボッチャ。「大逆転がある競技なので、最後まで勝負の行方が分からないのが醍醐味。たくさんの人にボッチャの楽しさを味わってほしいです」と花田さん。競技の魅力を広げながら、白熱した試合を冷静にジャッジする。

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使われる道具

 審判員はどちらがジャックボールに近いか測るコンパス状の道具「キャリパー」。投球の指示や得点を提示するときに使う杓子状の「パドル」を使いジャッジを行う。また、ボッチャは障がいにより投球が難しくてもランプ(勾配具)を使いアシスタントとともに競技することできる。

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