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美味しいものをさらに美味しく

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愛情込めて、地産品を特産品にーー。

 加治木町西別府の隈原台地では1月の下旬から「隈原ニンジン」の収穫が最盛期を迎えている。大根のようにまるまると太ったニンジンは、だいだい色が濃く実に鮮やか。果物に匹敵するほどの甘さも特徴のひとつで、糖度は8%を超える。「煮しめにすると最高ですよ」と話すのは加治木町農産加工の日髙笑子代表。隈原ニンジンを使った煮しめをはじめ、甘さを活かしたジュースやジャム、ピクルスやドレッシングなど物産館などでの販売のほかインターネットを介して県外の消費者にも喜ばれている。
 昭和中期に家事労働の効率化や、衛生・栄養学を踏まえた家庭経営を学ぶことを目的に、農村女性たちが全国で組織した「生活改善グループ」。日髙さんは20代のころから地元の生活改善グループに参加し、毎月グループ員の家庭を回って保存食作り、編み物、裁縫など精力的に取り組んだ。「カルピスやミカンジュース作りは子どもたちが喜んでいたのをよく覚えています」と在りし日を想い笑顔。昭和60年代にはグループで隈原ニンジンを使ったキャロットジャムづくりに力を入れた。農家の課題となっていた規格外で出荷できないニンジンを生かす挑戦は、地域一体となった取り組みに――。試作を重ねて生みだしたキャロットジャムは今でも製造・販売が続く人気商品となっている。この成功を機に昭和63年グループ員26人で加治木町農産加工グループを結成。その2年後には農産加工センターに拠点を移し、原材料の契約栽培を開始させた。さらに翌年には加治木町特産品協会へ加入するなど、活動の舞台はますます広がった。「たくさんの協力があって設備が整い、技術が身についた。今もいろんな人に支えられています」と法人化され現在の加治木町農産加工株式会社となる、これまでの歩みをふり返り携わった人々に感謝する。
 

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 自社栽培するニンジンは年間4~5千本。代々改良されてきたフカフカの土壌がフルーティな甘味を育む。

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 加治木町農産加工のメンバーは隈原ニンジンのPRにも一役買っている。昨年2月に開催された第1回姶良市煮しめグランプリではチーム名〝にんじん娘s〟で出場。ニンジンをたっぷり使った彩り豊かな煮しめは「JAあいら組合長特別賞」を受賞。とろけるような柔らかさ、濃厚な甘味が審査員を魅了した。ニンジンの魅力を発信し続ける加治木町農産加工。「新商品の開発にも目を向けながら、今やれる目の前のことに一生懸命になりたいですね」と笑顔を見せる日髙さんは、今日もメンバーとともに心を込めて作業に打ち込む。

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 水も加えない濃厚なキャロットジュースは鮮度が命。収穫後、高温の蒸気をあて短時間でペースト状にする。ニンジン本来の味が楽しめる。

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