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一秒に懸ける想いに応える

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駅伝支えるベテランスタッフ

毎年2月、鹿児島本土を舞台に5日間にわたって開催される「鹿児島県下一周市郡対抗駅伝競走大会」。地区代表の選手たちは郷土の誇りを背負い、過酷なトレーニングで磨いた走力とチームワークで力の限り走りぬく。タスキを懸命につなぐ姿と送られる沿道からの声援は春を告げる風物詩になっている。
そんなレースが繰り広げられる中、裏方として大会を支え続けるベテランスタッフがいる。「全力を尽くした記憶と記録を残してあげたい」と話すのは25年にわたり審判員を務める西 猛志さん。時速20キロに迫るスピードで次々と駆け抜けるランナーたちにトラブルがないよう警察や関係スタッフらと協力し沿道の安全を確保。通過タイムを正確に計測するため選手を応援したい気持ちをグッと堪えランナーとストップウォッチに集中する。

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迫るゴールに熱くなる

西さんが担当する最終日第9中継所は加治木町朝日町の性応寺前で、全行程53区間のうち残すところ2区間と大詰めも大詰め。選手も応援者もヒートアップする場所だ。「地元姶良チームを応援せねば」と観客も多く詰めかける。「応援は苦しいとき、もうひと踏ん張りしたいときに大きな力になります。沿道の人たちにも楽しんでもらいたい」と西さんは駅伝を通してたくさんの人たちが一体感に包まれる瞬間も醍醐味のひとつと話す。

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伴走するように選手に寄り添う

生粋の陸上競技者かと思いきや西さんが学生時代に親しんだのはバレーボールやサッカー。陸上競技とは縁がなかったが、旧加治木町役場職員時代に社会体育担当になったことがきっかけで加治木町体育協会陸上部の創部、審判資格の取得、県下一周駅伝の中継所準備責任者の歴任など多くのランナーたちを支えてきた。「走り切った表情を見ると不思議と心地よい達成感が伝わってくるんです。納得のいく走りができようとできなかろうと、その頑張りには称賛を贈るようにしています」と優しくほほ笑む。
西さんが年間10回ほど審判員を務める競技大会の中で、間もなくやってくるのが早春を駆ける市駅伝競走大会。同大会ではコースの点検のほか各中継所や大会本部の運営など統括的役割を担う。「楽しかったと思える大会にするためにランナー目線で運営にあたっています。その楽しさが陸上競技の裾野を広げるきっかけになったら嬉しいですね」熱い想いをエネルギーに変えて西さんも奔走する。

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