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暮らしにつながる「農」を応援

米迫愼二

地域に耳を傾け、農業の今と未来を支えたい

 全国的にも課題である農業の担い手不足や耕作放棄地の増加などに対し、農家と関係機関のパイプ役となり、農地利用の最適化や新規就農者の支援などに尽力する農業委員。米迫さんは平成11年に農業委員となり、平成29年から市農業委員会の会長を務める。また、水田の有効利用につなげる「はだか麦」の生産に力を入れ、「あい裸麦生産組合」の会長にも就任。はだか麦の生産拡大と商品化を進め、姶良市のはだか麦の生産量は県内1位を誇る。
 

 農家に生まれ、幼少期から農業に興味があった米迫さん。「近所のおじさんにも農業の面白さを教わった」と土壌のつくり方や苗の植え方など、技術や作物の性質を知るほどに就農への想いは強くなり市来農芸高等学校に入学。卒業後は稲作をはじめ、キュウリやほうれん草など、さまざまな野菜を栽培している。
 「自然の波に乗ることは難しいけど大事」と天災で不作だったり、燃料代の高騰やニーズの変化で収益に影響がでたりと何度も苦い経験をした。米迫さんはこれまでの経験を生かし、地域の農家やこれから農業をはじめる若い世代の手助けをしたいと語る。農業委員会では農地の売買などの審査や農業者年金の普及、農地の利用状況の調査を実施。また、持続的に力強い地域農業の実現化をめざす「人・農地プラン」の作成に取組むなど、多角的に地域農業を支えている。
 水田が農地の7割を超える姶良市。収穫後の田を有効利用する裏作に麦の栽培を検討したが、多湿に弱い欠点に苦慮していた。そんなとき、米迫さんは北陸地方の視察研修で、額縁のように排水溝で田を囲み、麦を守る湿害対策を知った。この技術を取り入れ、農家の有志ではだか麦の生産に挑戦し、平成27年には「あい裸麦生産組合」を設立。はだか麦を使用した味噌や菓子などの商品化も展開し、メディアでも注目されている。


 「まろやかな甘みで飲み過ぎてしまう」とはだか麦焼酎で晩酌を楽しむ米迫さん。姶良市は生産地と販売所の距離が近く、消費者に新鮮な状態で市産の野菜が届くと話す。住みよいまちの一翼を担う地域の農業を盛り上げ、次世代農家を応援していきたいと情熱を注ぐ。

農業研修

 農地の利用促進のために農地パトロールを実施し、地域の農地利用状況を調査している。

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