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演じることは伝えること

堀切さおり

人が織りなす物語で心ふるわすアクター

 「違う人間の人生を生きられる」と演じる楽しさを語る堀切さん。社会人劇団に所属し、役者として県内を中心に活動している。今年2月には鹿児島で活躍する劇団「演劇ユニット グリーンカード」の15周年記念公演に客演(他劇団の演劇に出演)として参加。下宿屋を営む熟年夫婦の物語「流れ星」の主人公である妻夏子役を演じ、観客を物語の世界へ引き込む迫真の演技で魅了した。


 堀切さんは加治木町出身で、幼少期はひ弱で引っ込み思案な性格。幼稚園のクリスマス会の演劇でも主役のマリア役に決まったときは自分にできるかすごく不安だったと話す。ところが、本番の舞台では不安よりも人前で表現する楽しさを強く感じ、「演じる快感をはじめて知った瞬間」と原点を回想する。
 加治木高校に進学してすぐ演劇部の舞台を目にする機会があり、雷に打たれたような衝撃を受け入部を決意。文化祭や自主公演など、部活動に打ち込むなかで、演劇を観た友人が涙を流して感動している姿を見て、演劇を続けていこうと心に決めた。卒業後は熊本にある芸能事務所の養成所に通い、演技や舞踊などを本格的に学んだ。これまで大河ドラマ「翔ぶが如く」のエキストラや地元が舞台となったドラマ、地方CMなどにも出演。幅広い経験で培った演技力がさまざまな舞台で評価されている。現在は平成22年に出演した県民による創作演劇「西郷どんがやって来た」のメンバーと劇団梵人舎を設立し活動。他劇団とも交流を深めながら、作品の演出補佐や後輩の指導などにも力を注ぎ、県内の演劇文化を盛り上げている。


 「漫画家にもなりたかった」とマンガやイラストを描くのが趣味。作詞や詩の創作も好きで雑誌にコラムを投稿するなど、根っからの表現者である堀切さん。「映画を観る感覚で楽しんでほしい」演劇は役者の息遣いや観客の笑い声など、演者と観客がひとつになり物語の臨場感を味わえると言葉に熱がこもる。人生や人間模様を描くことが多い演劇。「もし自分だったら」と観客が自分を物語に投影し、人生や日々のささやかな幸せを見つめ直すきっかけになればと、これからも心に響く芝居に情熱を傾ける。

堀切ステージ

 2019年3月、宝山ホールで公演した演劇「夢〜無敵だったあの頃〜」。年間約2本の舞台に出演している。

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