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地域の誰一人取り残さない―。

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人を心から認め、寄り添うことが福祉の第一歩

 日本医師会と産経新聞社が共同主催する「日本医師会 赤ひげ大賞」。病を診るだけではなく、地域に根付き、生命の誕生から看取りまで寄り添う。その中で地域の疾病予防や健康の保持増進に努めている医師に送られる賞であり、毎年全国から5人が選出される。今年度、栄えある赤ひげ大賞を受賞した、医療法人大進会ろうけん姶良施設長の大久保直義さん。「希望ヶ丘病院」、「希望ヶ丘保育園」、特別養護老人ホーム「ろうけん姶良」、認知症高齢者グループホーム「ぽっぽえん」・「重富の里」、住宅型有料老人ホーム「きぼうのおか」など多くの施設を市内で開業。地域の健康増進に大きく尽力してきた。現在、なんと御年90歳でありながら、日々、施設の利用者と向き合い、務めを全うしている。
 医師として活躍する父親の背中を見て育った大久保さん。自ずと医師を志すようになったという。鹿児島大学の医学部を卒業後、同大の第一内科に勤務した。「人の健康を守るためには〝身体・心・社会〟を包括的に診ていかなければならない」そんな考えの礎をそこで築いた。医師としての経験を積んだ後、自身が37歳の時に希望ヶ丘病院を開業。院長としての歩みをスタートさせた。院内での診察に加え、患者宅に出向き往診することもしばしば。病気を診るだけではなく、日常の介護面から支えていく必要があると気付くきっかけとなった。そこから、医療と福祉の両面を併せ持った病院をめざし、現在の療養体制を確立した。介護が必要な高齢者への医療ケアやリハビリテーションといったサービスを開始。「まずは相手のことをよく知り、心から認めることが大事。その上で最後まで関わり、患者さんが元気になってくれることが一番の喜び」と治療から介護まで関わりを重ねる中でのやりがいを語る。

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 同院を開業して約7年後に地域からの要望を受け、保育園、さらには病院内に小児発達外来を設け、子育て世帯を幅広くサポート。一方では、高齢者のケアにも重きを置き、医療・看護・介護リハビリテーションを提供する「ろうけん姶良」などの高齢者を受け入れる施設も設立した。子どもから高齢者までの拠り所を提供している。まさに、大久保さんのモットーである「誰一人取り残さない」を体現してきた。「それぞれの施設が姶良市になくてはならない存在として、地域の健康と福祉を支えていきたい」と優しい眼差しで胸の内を明かす。今日も、誰かに寄り添い、奮闘し続ける。

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 時代小説「赤ひげ診療譚」に登場する人々に寄り添い、身を粉にして働く“赤ひげ先生”に由来する“赤ひげ大賞”。今回受賞した大久保さんは、病院をはじめ保育園や多くの高齢者施設を開業してきた。市民の集いの場として「重富民俗資料館」も設立し、趣味のコレクションでもある昭和の懐かしい生活道具や昆虫の標本など展示している。

 

 

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