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選手と心を通わせゴールをめざす

20230815姶良人サムネ

コーチングでアスリートの夢を支えたい。

今年6月に「スペシャルオリンピックス夏季世界大会」がドイツのベルリンで開催された。4年に一度、夏季・冬季に開かれる、知的障がいのある方たちが競うスポーツの世界大会。アスリートたちはこの大舞台に向け日々トレーニングを重ね、高みをめざす。
本大会で日本代表の競泳ヘッドコーチを務めたのは姶良市在住の下田昇吾さん。「スペシャルオリンピックス」という知的障がいのある方たちに様々なスポーツトレーニングや競技の機会を提供する国際的なスポーツ組織に所属する。
大学時代にスポーツをしたいと思い参加したサークルが、スペシャルオリンピックスの活動を支援し、障がいのある方とスポーツを楽しむ活動をしていた。その後も継続的に活動へ参加し「全ての人が持つそれぞれの個性に触れ、何かできないことがあったときに隣でサポートできることが嬉しかったです」と思いが芽吹いた瞬間を語る。スペシャルオリンピックスの特徴である「一位をめざすのがメインではなく、順位に関わらず全員表彰」というスタンスにも強く惹かれたという。高校時代に競泳の九州大会にも出場した自身の経験を生かし、主に競泳のコーチングに取り組むようになった。
本市をはじめ出水市・鹿児島市・霧島市まで通い、ボランティアで指導を続ける。二人三脚で選手を指導していると、本人では気付かない泳ぎのフォームの課題点が見えてきた。改善するため時間を惜しまず選手と向き合い練習を重ねる日々。「大会のときに課題を克服し、見事に泳ぐ選手の姿を見たときの感動は言葉にできないものでした」と表情を綻ばす。

いざ、臨んだベルリン大会…。2週間の大会期間中、競泳は個人種目と団体種目が実施された。選手のモチベーションを高い状態で維持するために「一人で頑張るんじゃなくて、みんなで声を掛け合っていこう。一人じゃないんだよ」と選手の背中を押した。競技がはじまると、自らも共にたたかう気持ちで手に汗を握り選手を見守った。結果は個人種目が見事3位の銅メダル。団体種目も7位という好成績を収めた。「完泳した選手が満面の笑みで選手団席に手を振ってきたときに思わず涙が溢れました」と胸の内を明かした。4年後に開催される世界大会を見据え、下田さんはコーチングスキルの向上や選手の体調・メンタル管理の徹底に励んでいきたいと意気込む。「スペシャルオリンピックスの認知度は日本では低いですが、私たち若い世代から良さを広めていきたいです」と締めくくった。

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