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その表情に思わずクスリ。

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おんじょ-onjo-人形の誕生

姶良市のふるさと納税の返礼品にユニークな人形がエントリーしている。その名もおんじょ人形。おんじょ‐Onjo‐は鹿児島弁で「おじさん」を意味する言葉で、人形たちはどれもヒゲの生えたおじさんの顔をしている。「クセのある表情を見てフフッと小さな笑顔が生まれたら嬉しいです」と製作者の毛利彩さん。愛嬌のある人形たちを一つひとつ丁寧に手作りしている。
学生の頃からものづくりに興味があり、趣味でバッグなどを作っていた毛利さん。13年前に愛娘を出産し「娘に人形をプレゼントしたい」と子育てのひとコマから製作がはじまった。昔、アメリカで流行したソックモンキー(サルのぬいぐるみ)をヒントに、綿を詰めた靴下を胴体にして細長い手足を付けた。「せっかくなら他にはない人形にしたい」とヒゲを使って個性豊かな表情を生み出せるおんじょをモチーフに――。「娘の反応はいまいちでしたけどね」と当時を振り返り笑顔がこぼれる。

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ネット注文で細かなオーダーがない限り個性たっぷりのおんじょで応える毛利さん。人形に詰める綿の量によっては太っていたり痩せていたり、表情以外にもキャラクターが光る。
おんじょ人形はだいやめ(晩酌)が大好き。実は毛利さんもだいやめが大好き。

小さなひと笑いに想い馳せて

毛利さんが生みだすおんじょたちは髪がもじゃもじゃのもの、ほくろのあるもの、鼻毛が出ているものなど個性にあふれ実にコミカル。「より愛着を持ってもらいたい」と名前もそれぞれにつけられ、年齢や趣味といった細かな設定があるのも面白さのひとつ。雑貨屋で働いていた友人からの提案がきっかけで商品としての取扱いがはじまった。現在はインターネットのみで販売。全国各地から注文があり、購入者にはメッセージとともに人形のプロフィールを添えて送り出すのだという。
「大衆ウケする人形ではないけれど、好みによっては気に入ってくれる人もいるかも」と控えめに話す毛利さん。しかし、根強いファンが多く、何人ものおんじょをお迎えしているリピーターもいるほど。中にはおんじょ人形なのに女性版のリクエストがあったことも。人形を受けとった購入者からの反応も楽しみのひとつで「おんじょの顔が父によく似ている。コロナ禍で祖父と会えずに淋しがっている息子にプレゼントしたらとても喜んだ」と心あたたまる声もあった。趣味ではじめた人形作りは、今や全国のたくさんの人たちを笑顔にしている。
製作に没頭してしまうこともある毛利さんは「優しい応援者がいます」と家族に感謝。全国から寄せられるオーダーに「いただいたご縁は大切にしたい」と世界でたったひとつのおんじょに命を吹き込む。

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人形以外にもキーホルダーやヘアゴムバージョンもある。どれもオンリーワンの一品。

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